映画「思い出のマーニー」との連動企画です。
「美術監督を務めた種田陽平氏が、映画の世界を巨大空間アートで表現する体感型展覧会」とのこと。
えーと。
最初にちょっと残念な報告です。
会場について、入場前にワンショット。これです。
すぐに画像右の警備員さんが駆け寄ってきました。
「撮影禁止です」とのこと。
え?ここはまだロビーですよ。撮影禁止は「会場内」ではないのですか?
もちろん、入場する際には、禁止事項には従うつもりでいました。
それが「入場前から」とはねぇ(-¥-)
それならば。
「撮影されてマズいならさぁ、中が見えないように暗幕でも下げておけば?」
そんな文句を言いたくなるような、あまり愉快ではないお話です。
脇にある大型スクリーンにも、撮影禁止の掲示がありました。
その代わり、といいますか、こんな記念撮影コーナーもありました。
中の様子はご紹介できませんので、代わりに公式サイトのトップページ。
観覧料は、当日券大人 1,300円。特別展+常設展なら 1,520円。
音声ガイドは520円。
最初に種田陽平氏本人による、企画意図などの解説。
マーニーと杏奈の声優さんによるガイド音声が12件。
さてと。気を取り直して入場です。
映画の舞台の「湿っ地(しめっち)屋敷」を中心とした、再現セットや原画などの展示ですが。
これがもう、ものすご~く、良かったです。
とにかく、作り込みがすごいんですよ。
最初は、屋敷とそこに向かう「杏奈」のボートのジオラマ。
続いて、屋敷全体のジオラマ。
次のコーナーでは、そのジオラマを反対側から眺めると・・・
だんだんと、映画の世界に引き込まれて行きます。
そして今度は、原寸大で綿密に再現されたマーニーの部屋です。
小さいテーブルには、紅茶のセット。
角砂糖入れには、使う分だけの角砂糖。
ミルク入れには、レース編みのカバー。
このようなディティールが、もう、そこかしこにちりばめられています。
例えば、セピア色の登場人物のポートレイト。
映画に登場する通りの、杏奈のスケッチブック。
人を描くのが苦手な彼女は、そこだけ消しゴムで消してあります。
マーニーの日記帳には、ひとりぼっちの寂しい日々が綴られています。
これらを通して、登場人物の理解が一層深まります。
それでも、これら映画に登場する物のディティールは、まぁ「想定内」と言えるでしょう。
更にはなんと、屋敷の改築図面まで何枚も展示されていました。
SHIPWOOD & CO. ARCHITECT 4/25/1951
SUMMER HOUSE
岩浦湿地 夏之家 改築案
それもね、黄ばんで縁の破れをテープで補修してあったりするんです。
一枚づつ、じっくり見てみます。
平面図を見ますと、使用人の居室はないようでした。
ということは、いじわるなメイドさんたちは住み込みではないのか、別棟なのか。
いずれにしても、マーニーの孤独の深さが思いやられます。
トイレはありましたが、お風呂はありませんでした。
本格的な洋館なので、トイレとシャワールームが一体なのかも知れません。
おかしな点を見つけました。
図面の表題は「SUMMER HOUSE」という英文と、日本文が併記されています。
それが図面により「夏之家」と「夏及家」と、表記が異なっていました。
「夏及家」は「夏乃家」の書き間違いだろうと思います。
これも、計算してやっている事なのでしょうか。
いくらでも見ていたいですが、更に進みましょう。
杏奈とマーニーが怖い思いをする、壊れたサイロがありました。
床はまるで濡れているようで、不気味な冷たい風が吹きます。
小さい子は、本当に嫌がっていました。
マーニーの人生の年表もありました。
生まれたのは、1950年代前半。
就職して結婚して、子どもが生まれて、、、
映画では、最後に近いシーンで、マーニーの人生が語られます。
それを具体的な年号年齢として読みますと、これはもう涙ものです。
このように書いていきますと、きりもなく長くなりますので、これ位にしておきます。
一番最後に、杏奈が描いたマーニーの絵がありました。
それまでの鉛筆スケッチとは違い、美しく彩色されています。
人を描くのが嫌だった杏奈が、ここまでの絵を描けるようになったのですね。
本当に、これはすごい作り込みです。
「飛び出す3D映画」とか、よくある「パネル展」とは、もうレベルが違います。
文字通り、どっぷりと映画の世界を体感できる展示でした。
これだけ濃密な体験が 1,820円なら、安いものです。
特に、音声ガイドは、もう絶対のおすすめです。
何しろ、マーニーと杏奈「本人」が、しっかり詳しく説明してくれるんですからね。
空いている日に一人で来たら、もっと深く入り込めたでしょう。
もう一度見たいですが、もうすぐ終わりですねぇ。
この後、遅いお昼で小休止して、博物館の通常展示もしっかり見てしまいました。
こちらもご報告したいのですが、、、書くのも疲れました。
開館直後から閉館時間まで、立ち通し歩き通し。
へとへとに疲れましたが、大満足でした。