まずは、夏目漱石「坊っちゃん」の抜粋です。
温泉は三階の新築で上等は浴衣をかして、流しをつけて八銭で済む。
その上に女が天目へ茶を載せて出す。
大きな札へ黒々と湯の中で泳ぐべからずとかいて貼りつけてある。
「天目」は、「天目台」つまりお茶碗を載せる台の事ですね。
「流し」は、何の事か分かりません。 → 【一番下に追記しました】
さて、5月30日、二日目の朝です。
せっかく道後温泉に来て、入浴だけで帰るわけにはいきません。
営業時間は朝は6時から。早起きして充分早く到着。
窓口が開くのを待って、840円のチケットを購入。
「神の湯二階席」お茶とおせんべいに浴衣付きです。
6時ちょうどに振鷺閣(しんろかく)の太鼓を合図に入館です。
一旦二階に上がります。衣装かごと座布団がずらり。
昔ながらのお座敷です。テーブルなんて、ないんです。
お姉さんの案内で場所を確保してから、浴衣を借りて一階の浴場へ。
えっ。
もう洗い場は全部ふさがっていました(^^;
多くの方は、いかにも地元の常連さんという感じ。
ゆったり朝風呂を味わってから、二階席に戻ります。
開け放した広いお座敷。窓際の座布団に座ります。
お茶はちゃんと「天目」に載って出てきましたよ(^^)
その上なんと、お湯は炭火で沸かしていました。
三階の夏目漱石ゆかりの部屋も見学して。
漱石にまつわる写真やパネルも眺めてと。
外の景色も眺めてと。
貸切用の個室には扇風機がありました。
無粋なエアコンなんて、ないんです。
うーん、これは素晴らしい。
実は私は、ここを訪れるのは30年振りです。
すごいですねー。思い出とぜんぜん変わっていないんです。
国の重要文化財でミシュランガイド2つ星で経済産業省の近代化産業遺産。
更に映画「千と千尋の神隠し」の「油屋」のモデルと言われる名建築。
そこで、文豪夏目漱石の名作「坊っちゃん」の名シーンを追体験。
温泉入って浴衣借りてお茶飲んでおせんべ食べて、これでたったの840円。
これはもう、安すぎです。
松山城はじめ、松山市内で寄りたい場所は幾つもありますが、、、出発です。
「現存12天守」のひとつ「宇和島城」に向かいます。創建は藤堂高虎。
以下、ウィキペディアからの抜粋です。
現存天守 (げんそんてんしゅ)とは、日本の城の天守のうち、江戸時代またはそれ以前に建設され、現代まで保存されている天守のことである。
これ以外に存在する天守には、復元天守、復興天守、模擬天守がある。
周囲は門のすぐそばまで市街化されていますが、城内はキレイに整備されています。
石垣は、ごつごつとした「野面積み」。
表面が滑らかな「打込み接ぎ」「切込み接ぎ」に対して、登れてしまうのが弱点だそうです。
通路の石段は途中で二股になるなど、複雑に配置されています。
小規模ながら、茂る樹木と相まって守りの固さを感じさせます。
素晴らしいことに、ほとんど観光用の施設はなしです。
ボランティアガイドのテントと、裏に仮設トイレがあるくらいで、自販機ひとつありません。
天守閣の入り口で入場料200円。
何の飾りもない、むき出しの木組み。
係の方が、昭和の修理の際の柱の補修跡を教えてくれました。
伊達家の当主の肖像画もありました。
肖像画を見て、映画「男はつらいよ 寅次郎と殿様」を思い出しました。
寅さんが伊予大洲の殿様の子孫と知り合う、浮世離れした楽しいお話です。
殿様の名字は藤堂でしたが、藤堂高虎から採ったのでしょう。
舞台の「大洲城」も行ってみたかったですが、、、きっとこんな雰囲気なのでしょう。
ちなみに、1977年の公開時の同時上映は、中村雅俊主演の「坊ちゃん」。
送り仮名が違いますね。
いやー、温泉もお城もホント良いですねー。
石段歩きで疲れましたので、続きは後ほど。
次は紫電改を見に行きます。
【追記です】
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温泉は三階の新築で上等は浴衣をかして、流しをつけて八銭で済む。
その上に女が天目へ茶を載のせて出す 。おれはいつでも上等へはいった。
すると四十円の月給で毎日上等へはいるのは贅沢だと云い出した。
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温泉や銭湯で「流し」といえば、三助さんに背中を流してもらうことですね。
「坊っちゃん」が発表されたのが1906年=明治39年です。
当時の物価は、こんな感じ。
http://manabow.com/zatsugaku/column06/2.html
「あんパン」は明治38年に1個1銭。
「うどん・そば」は明治37年に2銭。
1銭200円とすれば、8銭は1,600円。
2013年まで働いていた「最後の三助」の料金が400円。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E5%8A%A9
これを引いたとして、お茶と浴衣付きで1,200円。
現在が840円ですから、大体計算が合いますね。
いずれにしても、毎日お風呂代1,600円ではねぇ。
「毎日上等へはいるのは贅沢だ」と言われても仕方ないですね(^^:
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