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2016年1月29日 (金)

浦沢直樹「ひとり漫勉」その2

2016年1月24日(日)の「世田谷文学館 浦沢直樹展」のイベント「ひとり漫勉」です。

いよいよ実際に漫画を描く「漫勉」に入ります。
ここで「師匠」と呼ぶ、放送作家の倉本美津留さんが声だけで登場。
(どこにいらっしゃったのかは分かりませんでした)
松本人志さんなどとも関係の深い方だそうです。
後で確認したら、テレビの「漫勉」のテーマも、この方との共作でした。

浦沢直樹さんが、大阪万博に行っていないことを嘆いたら、
「じゃぁ行ってみよう」と一緒に万博公園に行ったら、休みだった。
そんなエピソードも話してくれました。

浦沢直樹さんは1960年生まれの東京育ち。
20世紀少年のケンヂと同じ実体験があるのですね。

さて、この師匠の声と打ち合わせをしながら、この場で漫画を一本仕上げます。
打ち合わせもなしの、ノープランとのことです。

青い鉛筆をぐるぐる回して削っています。
おそらく、STAEDTLERの、これかと思います。
Staedtler

まずは構想メモです。

横着なおっちゃん「横着太郎」の一枚物のギャグ漫画。
「まさかSF未来都市は描けないので」
「なぜ横に着で、おうちゃくなんでしょうね」

師匠の声と語りながら、構想をメモします。
その合間に、様々なお話が入ります。
20160124_24

漫画のストーリーはこうです。
 横着太郎がリモコンでテレビのチャンネルを変えようとする。
 なぜか何度押しても反応が無い。
 横着太郎は、念力でチャンネルを変えようとする。
 テレビは、ほんの少し動くだけ。

コマ割の説明もしてくれます。
テレビのリモコンは音はしないけれど「ピッ」と吹き出し。
並べて描いて、何度も繰り返している表現。

「テレビ画面はニュース番組にしよう」
「出演は安藤優子」ここでも笑い声。
Andouyuuko

さてネームが出来て、別の用紙に下描きです。

横着太郎の顔は、横着者らしい、のっぺりとした丸顔の案。
師匠からダメ出しで、眉の太いがっちり型へ。
(この内容は貼り出されませんでした)
この横着キャラクターならばと、部屋は和室で畳にごろん。

定規を忘れたそうで、別の用紙のふちを定規代わりに使います。
あれこれ話をしながら、どんどん出来上がります。
念力のコマは画面(?)を割ろう。とか。

コマ割のスペースは、横5mmで縦3mm。
これは大友克洋の作品を計って、それに合わせた。
スクリーントーンは、坂口尚の作品の点を数えて何番かを調べた。
昔は今のような指導書が無かったので、そんなこともしていた。

師匠の「1話分はどうやって合わせるのか」という質問に対して。
例えばビリーバットなら1話24枚。
初めからコマ割りをして、ぴたりと合うそうです。
「カンですね。経験積んでいますから」

コマ割りの線は、昔は「カラス口」や「ロットリング」を使った。
父親が図面引き・トレースの仕事をしていたので、子どもの頃からケント紙は身近にあった。

そんな話をしながら、ネームを元に下描きが終わりました。

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