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2016年3月23日 (水)

見てきました 映画「家族はつらいよ」

山田洋次監督の最新作「家族はつらいよ」です。
Kazokuha_2

いやー面白い!
まさに抱腹絶倒の面白さ。
大わざ小わざ、隠しわざの数々。
老夫婦の事件から、息子夫婦と娘夫婦を巻き込んでの大騒ぎ。
これぞ、山田洋次監督ならではの喜劇映画。
Kazokuha_1

ご存知「男はつらいよ」では、寅さん一人が大暴走し、周囲の人々が振り回されます。
それに対し、この映画では、、主要な登場人物それぞれに見せ場があります。
喜劇としての「笑い:しみじみ」比率を考えると、笑いの率はこちらが上かも知れません。

物語は、橋爪功のゴルフや小料理屋から始まります。
いかにも中産階級の穏やかな生活というイメージ。
これは「東京物語」風の展開か、、、と思ったら、とんでもない。

主演は橋爪功なのでしょうが、家族一同それぞれ大熱演。
泣き叫びツバキを飛ばして、言いたい放題の口げんか。
ついに飛び出す「それを言っちゃぁおしまいよ」な、きつーいひと言。
ずるっとコケたり、サングラスでおどけたり、ベタなギャグも良いタイミングで連発。

私は、各シーンで「男はつらいよ」を連想しながら、見ていました。
これはきっと、多くの方も同じだと思います。
でもね、山田洋次監督は、そんな心理は元よりお見通しなんですね。

 夫婦の離婚問題で、家族会議を開きます。
 長男の奥さん、うな丼の上を肝吸い付きで、出前を7つ。
 集まるのは、夫婦に加え息子夫婦と娘夫婦に独身の次男で、計7人。
 ところが次男は、恋人を連れて登場。

おっと、うな重が一つ足りないぞ。
これは「 男はつらいよ」の名シーン「メロン戦争」の再来か?
そう思って見ていたら。
何と、全然違う事件が起こります。
そうかー、そう来たか―。
こんな肩すかしも、監督はお見通しなのでしょう。

その後が、次男の恋人の蒼井優さんの見せ場です。
事件が起きて、きびきびした動きを見せてくれたり。
義父になる橋爪功に、きちんと思うところを語ったり。
この家族の新しい一員、外からの風が事態を解決に導いてくれる。
明るい未来を感じさせる、爽やかな展開。

小わざも色々あって、どれも面白いんです。
奥さんの小説講座通いでは、とぼけた講師の先生。
娘婿の林家正蔵は、父親の先代三平のギャグをかましたり。
落語家みたいな頼りない医師と言われて、笑福亭鶴瓶が出てき たり。

細かい描写にも、ニヤリとさせられます。
夫婦の部屋には「男はつらいよ」のDVD、本棚には漱石や鴎外の全集。
舞台は秋で、棚の上にはブタさんの蚊取り線香。その脇には柿の種の缶。
ポスターは「東京家族」。

更に嬉しい隠しわざ。
駅前の和菓子屋さん。
あっ。「くるまや」の三平ちゃんだ!
そうかー。帝釈天から、こちらに支店を出したのか。
こういうのが、嬉しいんですよねー。

とまぁ、語るとキリが無いです。

ここ数年の山田洋次監督作品は、こんな感じ。
 おとうと(2010年)
 東京家族(2013年)
 小さいおうち(2014年)
 母と暮せば(2015年)
 家族はつらいよ(2016年)

私としては、これらの中ではダントツの面白さ!でし た。
これらの中で、誰も死なないのは、この作品だけ。
ちなみに「男はつらいよ」全48作で、亡くなったマドンナは初期の一人だけです。
これぞ山田洋次喜劇。

あー楽しかった。

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