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2016年6月 5日 (日)

見てきました 映画「海よりもまだ深く」

昨年6月公開の「海街diary」に続く、是枝裕和監督の最新作です。
監督・脚本・原案ともに是枝監督が手掛けています。
Umiyorimo_5

 『海よりもまだ深く』(うみよりもまだふかく)は、2016年5月21日公開された日本映画。
 監督は是枝裕和。主演は阿部寛。
 団地を舞台に、売れない小説家の主人公と、団地に一人住まいのその母親、別れた元妻とその息子。
 こんなはずじゃなかったと今を生きる家族を映したストーリー。
 第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品作品。

美しい風景、美しい女優、情熱的な恋愛、感動的なドラマ、そういうのは一切ありません。
(真木よう子さんは素敵でしたが)

2008年6月公開の「歩いても 歩いても」に良く似た、謂わば「小品」です。
監督ご本人も、そう言っています。

 『海街diary』が終わったらもう一度、小さな話に戻してみようかな。
 自分の原点というかさ、立ち位置を確認してみようかってね。
 いずれ社会派の大きなものをやってみたいと思っているんだけど、
 このまま大きなものへストレートに行くよりは、
 今一度ここへ立ち帰っていくのは必要な作業だなと思ったんです。

主人公は、見事なダメ男。
賞は取ったものの、その後は売れず、仕方なく探偵をしてその日暮らし。
ギャンブル好きで金もなく、別れた奥さん子どもには格好をつける。

何と言いますかねぇ。
繰り返しになりますが、とにかく、何も起きないんです。
もう嫌になるような、ダメ男やおばあちゃんの日常が、延々と続きます。
これがもう、大変なリアリティなんですよ。

ダメ男。
出版社で、漫画の原作の仕事の話が出るが、格好を付けて断る。
息子に野球のスパイクを買ってやるが、わざと汚して値切る。

おばあちゃん。
急に、息子たち三人が団地に泊まることになる。
夕飯は、半年前の冷凍カレーに油揚げを入れて、カレーうどん。

台風の晩、母の団地の同じ部屋で、親子三人で泊まることになります。
これで何かが変わる?
元夫婦の心が通じ合うとか、未来への決意を新たにするとか?
、、、そういう展開は一切なし。

見ていると、登場人物が知り合いに似ているように思えてきました。
 親戚の、90歳になるおばあちゃん。
 近所にある団地の、昔と今の様子。
 うちの子どもたちが、小さかった頃の思い出。
 そして、自分のダメさやセコさ。

見終わると、映画自体が、すとんと胸に納まる。
そんな感じです。

それらしい、良いセリフもあるんですよ。
 「このミカンの木は、花も実も付けない」
 「なりたい自分に、そんなに簡単になれると思っているのか!」
とかね。

でも、そんなあえて感動ポイントを探すような見方は、しなくても良いように思います。
すとんと胸に納まった映画を、そのまま納めておいて、時々思い返す。
そんな気持ちでいられれば、良いかなと思います。


海街diary」の時にも書きましたが。
是枝裕和監督と言えば、私は「ワンダフルライフ」が一番の思い出です。
1999年の春。
渋谷のシネマライズというスカした映画館の単館上映で見たのでした
あれ以来何となく続いている、何となく魅かれる、ちょっと不思議な是枝裕和ワールド。

人も物も映画も監督も、出会いのもの、なのだなぁと思います。

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