見てきました 映画「歓待1.1」「ほとりの朔子」その3
つぎに「ほとりの朔子」です。
ほとりの朔子 125分 日本、アメリカ 2013年
監督・脚本: 深田晃司
出演者 : 二階堂ふみ、鶴田真由、太賀、古舘寛治、杉野希妃、大竹直、渡辺真起子、志賀廣太郎、松田弘子、想田和弘
先の「歓待1.1」は、小ネタ満載ではあるものの、明らかな事件と解決の物語です。
一方こちらは、やはり小ネタ満載ながら、全体を通した事件はありません。
主人公の朔子は大学受験浪人です。
夏の二週間、旅行で留守になる伯母の家で、別の叔母と二人で過ごします。
場所は、東京から普通列車で行ける程度の海辺の町。
そこで様々な人たちと出会い、様々な小さな出来事が。
解説を抜粋します。
そんな中、彼に急接近する同級生・知佳(小篠恵奈)から連絡が入る。
浮足立つ孝史の表情を見て、朔子の心が揺れ始める…。
こんなシーンもありましたが、主たる事件という程ではありません。
その後の展開の方が、それなりにドラマチックです。
知佳の呼び出しの理由は、福島から避難してきた孝史に、
反原発の集会でスピーチをして貰いたかっただけ。
福島の実家に馴染めなかった孝史は「むしろ、清々した」と
本音を話して、集会のステージから逃げ出す。
反原発の活動家と「気の毒がられて気の毒」な孝史。
これだけでも、一つのテーマではあります。
この他、孝史のバイト先の偽装ラブホテルとか、叔母の仕事や恋人とか。
相互に関連のない小さな事件が、次々と描かれます。
結構深刻な痴話げんかなど、それなりにヘビーな状況もあります。
それでもとにかく、予定通りに電車で家へ帰る朔子。
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是枝裕和監督の「歩いても 歩いても」の公開前に、CS放送でメイキング番組を見ました。
その中で、樹木希林さんは、こう話していました。
「事件があった方が楽なんですよ、映画はね」
なるほど。
大喜びや大泣きの大事件なら、感情むき出しの演技で誤魔化せるかも知れません。
淡々と微妙な感情のゆれを表現する方が、ずっと難しいのでしょう。
こちらの映画も、その点は同じなのでしょう。
小さな事件が連なり、感情爆発のシーンはごくわずか。
その分、丁寧な情景描写が楽しめる。
そんなところでしょうか。
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