見てきました!!! 映画「この世界の片隅に」
2016年11月12日(土)公開の映画です。
舞台は、戦前戦中戦後の呉と広島。
となれば、軍港への空襲や原爆。
どうも、この時代の映画や小説はねぇ。
もちろん、良いものもありますけど。
私にとっては、あまり期待は出来ないんです。
山田洋次「母と暮らせば」や、野坂昭如「火垂るの墓」。
そのほか、巨大戦艦やら両国から描いた離島奪還やら。
ということで。
この映画も、私は見る気は全くありませんでした。
ところが先日見てきたある人が、大絶賛。
「ぜひ見てきてよ、ただし一人でね。」
ちょっと調べると、なるほどかなり評判は良いようです。
埼玉県内での上映は、わずか4館です。
これでは、この後どうなるか分かりません・・・
というわけで。
ちょうど都合がついたので、夕方の回を見てきました。
あれ?
映画館の中には、この映画のポスターさえありません。
唯一見つかったのは、地味~な主人公のタテカンだけ。
というわけで。
いやー、なるほどこれは良かったです。
水彩画のような、穏やかな絵柄。
手足の大きい、良い意味でまんがっぽい人物造形。
主人公は、小柄で絵が好きで方向音痴で天然な女の子。
広島から呉にお嫁入りします。
昔の話ですからね、親兄弟舅姑小姑親戚。
その他ご近所や偶然出会う人など、登場人物は多数。
それらの人々も、人物像が明快でストーリーもあざやか。
風景や料理や裁縫など、細部の造り込みが素晴らしい。
和服を裁ってもんぺに仕立てる手順とか、野草の食べ方とか。
米軍のビラを拾って「落とし紙」にするとか。
戦争が激化し、穏やかな生活が崩れて行きます。
本人や家族や知人が、傷ついたり亡くなったり。
やがて、町が焼け野原になったり。
ぽよんとした主人公も、さすがに大粒の涙をこぼします。
主人公の心の動きそのまま、水彩画のような背景が乱れたり。
ですが、陰惨な戦場描写や、ことさらな悲劇的描写は一切なし。
主人公と家族の生活が、丁寧に淡々と描かれます。
淡くて美しい水彩画のように。
そして、終戦後の物不足のなかにも、少しづつ明るさが見えてきます。
深く静かな悲しみとともに、小さな救いもあり、さわやかなエンディング。
エンドロールの後には、クラウドファンディングに協力した方のリスト。
それに添えられた鉛筆画が、また良かったですねぇ。
映画に登場した脇役の、サイドストーリーになっているんです。
まさに頭からしっぽまで、すみずみがしっかり楽しめる、素晴らしい映画でした。
呉は、わずかな時間ながら昨年訪れたばかり。
2015年5月29日(金)ボーイング737とレンタカーとフェリーで「呉の大和ミュージアム」
そして今回映画を見たのは、昭和20年8月14日夜に空襲された、埼玉県唯一の戦災都市。
映画の感激も、ひとしおでした。
原作も、さっそくチェックしなくては。
それから「続・深夜食堂」も、早めに見なくては。
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