歩いてきました「蕨の歴史的喫茶店~川口の歴史的建造物」その2
2017年7月1日(土)の続きです。
埼玉県南部の古い建物を見てきました。
JR京浜東北線でふた駅10分足らず、蕨駅から川口駅に移動します。
川口市は埼玉県の南の端。荒川をはさんで東京都と隣接しています。
荒川岸の良質な川砂や粘土、東京への舟運といった地の利を得て、鋳物産業で栄えた場所です。
昭和37年の映画「キューポラのある街(吉永小百合主演・浦山桐郎監督)」で知られています。
昭和39年の東京オリンピックの聖火台も、ここで作られました。
今は鋳物産業は衰退し、工場跡地がマンションに変わったりしています。
さて駅前です。
コンコースで囲まれた駅前広場。
鋳物工やキューポラの銅像を眺めてから、バスで10分ほど。
国道122号岩槻街道沿いの「旧田中家住宅」です。
以下、公式サイトより抜粋です。
旧田中家住宅は大正時代に建設された県下有数の本格的洋風住宅です。
大正10年(1921)に上棟し大正12年(1923)に竣工した木造煉瓦造三階建の洋館と、
昭和9年(1934)に増築された和館の他、文庫蔵、茶室、池泉回遊式庭園、煉瓦塀
により構成されています。
建てたのは、味噌醸造や材木商で財をなした四代目田中德兵衞氏。
(明治8年~昭和22年,1875-1947)
家業のほかに、埼玉味噌醸造組合理事長、南平柳村村長、埼玉県会議員、
貴族院多額納税者議員にも就任したという方。
前置きはこれ位にして。
国道沿いに見える立派な洋館です。
登録有形文化財第11-0097~0100号。入館料200円。
係の方が2人、先客が2~3人。
玄関から上がりますと、立派な上がり框や神棚。
すぐ裏には、金庫や机。
なるほどこれは素晴らしい。
柱や天井や階段、素人目にも太くて良質な構造材。
ゆがみが無く、まるでつい先日完成したばかりのような精密感。
サンダルでちょっと庭に出てみます。
咲いている花は、アカンサスというそうです。
応接室の天井の照明飾りに描かれている花なのですって。
3階の広い応接室。
この建物は、昔からの街道沿いです。
当時は荷車や馬車などの往来も多かったでしょう。
3階なら、それらを下に見て眺望が楽しめたのでしょう。
調度品も凝った装飾で素晴らしい。
部屋には出入口がふたつ。
吹き抜けの階段室から見ると、玄関とは別の方に向いています。
お茶や料理を運ぶ、使用人の通路でしょうか。
和室を眺めたり、窓の外の景色を眺めたり。
煉瓦の壁に日本瓦の和洋折衷。
一階に戻ります。
奥の和室も大層立派です。
長い廊下の先のトイレも、この通り。
船底天井の広いスペース。
和装のお客さんが袴を脱げるように配慮したのですって。
厨房です。
この建物は、市民の会合などで借りられるそうです。
そのため、充分な広さのステンレスの厨房が設置されています。
ですが、周囲は昔からの煤けた壁のまま。
へぇー。
扉のある狭い階段もありました。
映画「となりのトトロ」の家の階段みたい。
これなら、まっくろくろすけも、きっと出てきたでしょう。
勝手口の土間から見上げてみます。
階段の反対側に板戸があって、はしごも付いています。
なるほど、これは使用人の居室なのですね。
こういった歴史的建造物ですと、普通はキレイな部分だけが公開されますよね。
ところがここでは、煤けたお勝手口の様子もしっかり見られます。
こういう所が、面白いですねー。
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