歩いて・見てきました「大沢の里水車経営農家」
2018年10月6日(土)。三連休初日の続きです。
着きました「大沢の里 水車経営農家」です。
取り急ぎ、三鷹市のホームページでの紹介文。
文化5(1808)年頃創設された武蔵野地域を代表する営業用水車・新車(しんぐるま)を公開しています。
敷地を含む全体が東京都指定有形民俗文化財となっており、水車機構は、社団法人日本機械学会によって機械遺産に認定されています。
「水車経営農家」とか「営業用水車」とか、初めて目にする言葉です。
水車を動力として、精米や麦の製粉を請け負う業態のようです。
昭和の初めには、このような水車設備が近隣に何か所もあったそうです。
で、最後に残った、ここ。
近年になり、文化財として修復維持されています。
先に書いたように、この三連休は実際に精米を行う特別公開日。
30分単位で見学予約し、空きがあれば飛び込みも。
後日搗いたお米が貰える引換券付き、およそ一合ほどだそうです(^^;
入場料は普段通りの100円。
まずは母屋などを見学してと。
その後、スリッパに履き替えて水車のある作業場へ。
頂いた構造図をご報告します。
なるほど。
縦に並んだ柱のような部分が、上下動する「杵」です。
お米の入った「搗き臼」は、床と同じ高さなのですね。
現在の回転数は毎分12回転。
野川から引き込んだ水路の流量で調整するそうです。
水車から、両側に動力が伝達されています。
米の反対側は、麦の製粉装置。
水平回転の「粉挽き臼」から水平往復動「やっこ篩」へ。
柱のような「昇降機」の中には、搬送バケットが内蔵されています。
人力作業が自動化され、著しく生産性が向上したとのこと。
電動の麦の加工機器。
これらの機械の電源は、工業用の「三相3線式200ボルト」です。
100ボルトの電灯線に遅れて、200ボルトが引かれたのが昭和16年頃とのこと。
すぐに電動が主流になったかというと、そうではなかったようです。
電動装置はパワーも限られるので、少量加工など補助として使われたそうです。
当初は電力供給も安定せず、停電もしばしば。
天井付近にプーリーとベルトがあり、水車からの動力伝達機構がわかります。
一番新しそうな青い機械の銘板は、以下の通り。
農業機械の種類 もみすり機
型式名 オータケ FS281
区分 三菱 MFS281
発売元 三菱農機株式会社
製造会社 株式会社大竹製作所
製造番号 9803613
メーカーのホームページがありました。
昭和8年の資料パネルが展示されていました。
当時の主食は麦飯で、大麦と米の比率が7:3。
あぁ、それは結構厳しいですねぇ。
精麦した丸麦は固いので、割麦や押麦で食べていたとのこと。
うーん。これは素晴らしい。
引き込んだ水路の水量調節による回転数制御。
水車の両側に動力軸があり、精米と麦製粉の同時稼働。
回転運動から上下動、水平運動、他の機器への動力伝達。
歯車は「寄せ歯」という細かい部品で構成され、摩耗しても部分修復が可能。
いやー大したものです。
精緻な動力伝達と合理的な加工のシステムが、良く分かります。
当時は大変なハイテク技術だったのでしょう。
大いに感心しつつ、次の歴史的な機械遺産の見学に向かいます。
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