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2019年5月 7日 (火)

古い本棚「対論」五木寛之/野坂昭如

日本科学未来館で巨大な建設機械を眺めてきました。
例えば黒部ダムや防災展などもそうですが、巨大メカは見るだけでも心に響きます。

以前、東京国際消防防災展2013 を見てきたときに、こんなことを書きました。

2013年10月4日(金) 東京ビッグサイトでうろうろ その3

20131004_21 20131004_22
これらを眺めて、私は大昔に読んだ本の一節を思い出しました。
オリジナルの本を探したのですが、残念、見つかりませんでしたので、記憶モード。

作家の五木寛之が、野坂昭如との対談で、こんな意味のことを語っていました。
  普段ブルドーザーを見ても何も感じないが、仮に日本が外敵に占領されたとして、
  深夜ブルドーザーを先頭にレジスタンスが占領部隊に戦いを挑む。
  そんな状況では、ブルドーザーに感動するだろう。

本が見つかりました。
読み返しますと、記憶していた内容と大体同じでした。
20190507_1
対論 五木寛之/野坂昭如 昭和48年6月15日 第1刷発行

 五木
 それもシチュエーションと形によりけりですけれども。
 だから京阪神を走っているバスが仮に何百台連なって大行進しても、
 大型ブルドーザーが鹿島建設の旗を掲げて何百台繰り出しても
 感銘なんかこれっぽっちもないだろう。
 しかし日本が占領され、レジスタンスに起ち上がった日本の人民が、
 深夜、ブルドーザーを駆って敵の本拠に殴り込む状況が仮に起きたら、
 その時そのブルドーザーは物凄い迫力があるだろうと思う。
 だから、あれは武器だ、ということが危険な魅力になるんだよ。

 野坂
 地震なんかの時に、ブルドーザーが十台でも音立ててやってきたら、
 やはり拍手して迎えるだろうね。
 無機物的な敵に取り囲まれている時でも、それを破壊してくれる
 道具に対する願望は確かにあるよ。

テーマ「軍隊」としての対談でした。
五木寛之は武器として語り、野坂昭如は救急時を想定して相槌を打っています。
私としては、単に合目的的な巨大システムとして眺めて嬉しいだけですが。
そこに様々な物語を紡ぎだす、やはり作家の見方は違うなぁと思います。

お二人の生没年は以下の通りです。
 五木寛之 1932年9月30日~
 野坂昭如 1930年10月10日~2015年12月9日
ということは、出版当時は五木41歳、野坂43歳となります。
人気作家としての全盛期。
私も、当時お二人の本はずいぶん読みました。
既刊はもちろん、新刊も出るたびに買っていた時期です。

今になって読み返しますとね、いかにも若くてお元気で。
全共闘とか終戦後の話とか、当時の雰囲気が良く伝わってきて。
なんとも懐かしい感じです。

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