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2019年12月24日 (火)

聞いてきました「三遊亭遊馬 中村仲蔵」

地元の市民ホールで開催された「人権啓発の大会」。
第二部のゲストが三遊亭遊馬さん。
演目は「中村仲蔵」90分と紹介されています。

ずいぶん時間が長いと思いましたら、前段で、落語の所作の説明。
 左を向いて子どもが母親に、右を向いて母親が子どもに話しかける。
 加えて、視線の上下で背の高さを表す。
 扇子を割り箸に見立てて、そばを手繰る。 など。
さらに、落語家や歌舞伎役者の階級の話などの予備知識の説明。

さて、はじまりました「中村仲蔵」。
歌舞伎の世界で下積みから出世する仲蔵を描く、1時間を超える大ネタです。
人気の演目「仮名手本忠臣蔵」の五段目が話の舞台です。
当時のこの幕は、四段目の切腹の後で「弁当幕」と言われるほど人気のないものでした。
それを仲蔵が工夫を凝らして演じて、大人気になったという出世噺。

これは「劇中劇」というパターンですね。
歌舞伎の舞台での仲蔵の工夫を、しっかり描き出していて、さすがです。
私は、この幕を20年近く前に国立劇場で見たことがあります。
その時の舞台を思い出しながら、じっくり楽しませて頂きました。


ですが。
今日の行事の演目としては、どうでしょう。
先のように、努力を重ねて出世する長い苦労話です。
講談としても語られる演目で、笑えるシーンは多くはありません。

重箱の隅ですが、前振りをした「扇子で蕎麦をたぐる仕草」
有名なのは「時そば」ですね。
いかにも旨そうに食べてみせて、蕎麦屋をだます。
マネをした男が、今度はぜんぜん旨くないのを、口先でお世辞を言う。
それぞれ、どんな気持ちで食べているかは明確です。
ところがこちらでは、雨宿りのついでに食べているだけ。
上手に蕎麦をたぐっても、旨いも不味いもなし、ストーリーには関係ありません。

今回の観客の多くは、本来の行事のために参列した方々です。
失礼ながら、落語も歌舞伎も特に興味はない、という方もいるでしょう。
また、落語自体を目当てに来場している方もいらしたようです。
その結果、大看板の団十郎が語っている真っ最中に、携帯電話の着信音(-_-)
驚きました。
こんな漫画のようなことが、実際に起こるのですねぇ。
ちゃんと笑いに変えてさばいてしまうのは、さすがでしたが・・・
こう言ってはナンですが、このような客層です。
もう少し、軽めの噺でも良かったのではないかと思いました。

例えば、持ち時間を1時間半として、先日の二人会独演会の演目であれば。
 廓噺「品川心中」や「たちきり」は避けるとして。
 まずは「金明竹」の前半分だけ。おとぼけ言葉で笑わせて。
 その後、魚屋夫婦が主人公の笑って泣ける人情噺「芝浜」とか。
 あるいは、この噺を、もう少しコンパクトに演じるとか。  
そんな組み合わせでも、良かったかなと思いました。

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