見てきました「世田谷文学館 小松左京展」その3
2019年12月7日(土)の続きです。
この機会に、予習のため「日本沈没」も再読しておきました。
出版は1973年です。
今になって読み返すと、描写が荒削りで何とも暑苦しい。
話は真夏の東京駅から始まります。
35度を超す異常な暑さで、病気や死者まで出ている。
胸とお尻を突き出したカンカン帽に短パン姿の若い女性。
駅の「水飲み器」に向かい壁を見上げると、細い亀裂が上まで続いている。
まるで未舗装道路をボンネットバスが黒煙モクモクで走っているみたい。
当時の熱気が伝わってくるようです。
未曽有の大事件に遭遇した様々な出来事や人物の描写が続きます。
若い頃は読み流してしまったシーン。
日本列島が沈むというニュースに驚く50代のサラリーマン。
戦中戦後の苦しい時代を経験して、やっと穏やかで豊かな生活を手に入れた。
妻と中高生の子どもを抱えて、俺はこれからもう一度頑張れるのか。
国連で演説する、タンザニアのンバヨ委員長。
高い経済力と技術力を持つ極東の島国、勤勉で均質な一億一千万人の危機。
この事態は、彼らの"因果応報"でも"自業自得"でもない。
人類同胞の2.5パーセントに襲いかかる巨大な厄災は、私たち人類全員に対する試練なのだ。
じーん。じわー。
どうにも、たまりません。
1973年版の映画も見直したかったのですが、見ていません。
ですが、内容はしっかり覚えています。
主演の藤岡弘。熱い男が危険も顧みず人々の救助に活躍。
ラストは包帯ぐるぐるで、シベリアを走る貨物列車の中。
いつの日か、世界のどこかで、恋人いしだあゆみと再会できるでしょうか。
話は戻って。
イベントの最後「日本沈没」(2006年版)映画上映です。
原作や1973年版とは、設定が大きく異なります。
深海潜水艇のパイロットは、草彅剛。
ヒロインは柴咲コウ。
原作や1973年版では大手財閥の令嬢ですが、こちらは東京消防庁ハイパーレスキュー隊員。
政府で陣頭指揮を執るのも、女性大臣になっています。
ラストも大きく違います。
豊川悦司演じる田所博士の尽力で、日本列島の全面沈没は回避。
その計画のため、草彅剛ともう一人の深海潜水艇パイロットは命を落とす。
幾人かのカメオ出演。
あらかじめチェックしていたので、しっかり確認できました。
・京都の高僧:富野由悠季
・山城教授の娘:安野モヨコ
・山城教授の女婿:庵野秀明
今回の展示会で、樋口真嗣監督の思い入れは、しっかり伝わってきました。
映画自体の内容、特にストーリーにつきましては、ノーコメントとさせて頂きます。
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