見てきました 映画「この世界の(さらにいくつかの)片隅に」
2016年11月公開の映画「この世界の片隅に」の増補版です。
上映時間は、従来版の129分に対し、今回は168分。
約40分、250カットが追加されているそうです。
お正月休のシネコンで見てきました。
比較的座席数の少ない劇場での上映ですが、席は結構埋まっています。
ポリ袋ごそごそポップコーンぽりぽり、無神経な音とともに上映開始。
ですが。
中盤以降は静かになり、エンドロールで席を立つ人もごくわずか。
多くの観客が、すっかり映画に引き込まれたようです。
私はオリジナル版を公開直後に見て、その後CS放送でも見ています。
2016年11月18日(金) 見てきました!!! 映画「この世界の片隅に」
その記憶と比べて、思いつくままに変化点を書き出してみます。
映画冒頭、まだ子どものすずさんと周作さんは、怪人にさらわれます。
映画のラストで、橋の上で語り合う二人の後ろを、その怪人が通りかかります。
オリジナルでは、背中のかごの中でワニがふざけていました。
本作では、怪物が振り返って微笑むシーンが追加されていました。
おばあちゃんの家で、すずさんは屋根裏から座敷童が下りてくるのを見ます。
本作 では、その正体について、おばあちゃんが語るシーンが追加されていました。
すずさんの夫の周作さんと娼婦のリンさんの関係について。
リンさんの名札は、周作さんのノートの裏表紙を破いて書いたもののようです。
本作では、親戚の口から過去の二人の関係が語られます。
更に、お花見ですずさんと出会ったり、リンさんの登場シーンがかなり増えています。
ぼーっとした性格のすずさん。
いつまでも、ぼーっとして暮らせれば幸せですが、そうは行かない時代です。
つらい人生の描写も増えていました。
子どもの出来ないすずさん夫婦。
本作では、寝室のシーンが増えていました。
空襲で右手を失ったすずさん。
本作では、長いモノローグで心情が描かれます。
その一方、オリジナル作で衝撃的だった、左手で描いたような荒い絵は出なかったようです。
意地悪な小姑の径子さん。
本作では、すずさんに対する態度の変化の描写が増えているようです。
オリジナル作では、モンペを縫って「片手でも穿けるようにゴムにした」が印象的でしたが。
これらはみな、原作に出てきます。
原作にはないシーンも、追加されているようでした。
すずさんの義父の円太郎は、海軍工廠で働いています。
空襲の際に迎撃する戦闘機を見て、一千馬力と語っていました。
その後の職場のシーン。
出力試験でしょうか、窓の向こうで星形エンジンが轟音を上げています。
ウィキペディアで確認すると、紫電改の誉エンジンとのこと。
これらはいかにもエンジニアらしくて、良かったです。
夫の周作さんは、軍法会議の職員だそうですので、そちらの仕事振りも見てみたかったです。
というわけで。
仮に初見であれば。
本作の方が説明的でわかりやすく、上映時間も長くてお得(^^;かも知れません。
ですが、一度見ている立場では。
良作だったオリジナルに対し、この程度の改変にどれほどの意味があるのか、疑問です。
先にも書きましたが。
すずさんの心の痛みを表す、左手で描いたらしい荒れた絵。
意地悪だった小姑の変化を表す、「ゴムにした」の一言。
短い印象的なカットで、鮮やかに心情を描き出しています。
原作に対し、どこを刈り込みどこを際立たせるか、これこそ「良い仕事」というものでしょう。
個人的には、オリジナル版の方が好ましく感じます。
まぁねぇ。
自分が理解できなければ「説明不足」。2017年6月27日(金) 見てきましたが、、、、、映画「メッセージ」
自分が気に入れば「余分な説明は不要」。
我ながら、手前勝手を言っているだけ、とも思いますが。
来場者記念の絵はがきです。
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