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2020年4月20日 (月)

読了!!! 原田マハ「キネマの神様」

新型コロナウイルス緊急事態宣言を受けて、外出を避けてキンドルで読書です。

2020年3月29日、コメディアンの志村けんさんが、新型コロナウイルス感染で亡くなりました。
山田洋二監督の次回作「キネマの神様」の主役に決まっていたそうですが。
代役は誰になるでしょうか。
いやそれ以前に、映画の撮影自体も中断しているでしょう。

そう言えば。
2020年4月10日には、大林宣彦監督が82歳で亡くなりました。
遺作は「海辺の映画館―キネマの玉手箱」
残念ながら、こちらは公開延期。

どちらも、映画と映画館をテーマにした作品のようです。
そして、山田洋二監督は1931年9月13日生まれの88歳・・・

私は映画を見る時は、できるだけ事前情報を見ないようにしています。
ですが今回は、予習として原作を読んでおくことにします。

キネマの神様(2008年 文藝春秋 / 2011年 文春文庫)
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167801335
 39歳独身の歩(あゆみ)は突然会社を辞めるが、
 折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、多額の借金が発覚した。
 ある日、父が雑誌「映友」に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、
 ひょんなことから父の映画ブログをスタートさせることに。
 “映画の神様”が壊れかけた家族を救う、奇跡の物語。解説・片桐はいり

言うまでもなく、小説や映画などには様々なタイプがあります。
人の心の奥底をえぐるような、重厚な展開。
季節や心の移ろいを鮮やかに描き出す、流麗な文体や映像。
複雑な構成で読者を迷わせるレトリック。 などなど。

この小説は、それらとは無縁です。
読みやすい文章で、時系列通りに話が進む、シンプルで分かりやすい展開。
おかげで、素直にお話に入り込めます。

映画好きの娘の一人称で話が進みます。
映画と賭麻雀と競馬が好きな父親が、一人の楽しみで書いていた映画鑑賞のメモ。
娘がそれをブログにアップすると、謎の人物からコメントがついて大評判。
それをきっかけに、映画雑誌の出版社や時代遅れの名画座が救われる。

作品中、実在の名作映画が幾つも登場します。
ブログでの評論だったり、名画座の上映プログラムだったり。
小説の登場人物を、映画の主人公になぞらえたり。
謎の人物のハンドルネームも、歴史的名作から採ったもの。
他にも、席の選び方の蘊蓄などなど。
映画館で映画を見る楽しさが、たっぷりと語られます。

あー、これは楽しい。
シンプルで心温まるストーリー、映画への愛に満ちたエピソードの数々。

なるほどこれは、山田洋二監督作品にぴったり、という感じです。

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