お楽しみ!! ライトノベル「キネマ探偵カレイドミステリー」その3
というわけで。「キネマ探偵カレイドミステリー」。
文章自体に、気になることが多くて、どうにも参ります。
我ながら野暮ですが。
二冊目の、「キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~」。
ここからは、パソコンでメモを取りながら読みました。
まずは、やたらに難しい漢字が出てくることです。
複雑な事情に塗れて → まみれて
躊躇われる → ためらわれる
尤も → もっとも
狼狽える → うろたえる
勿論 → もちろん
纏めて → まとめて
折角 → せっかく
これらは、普通にひらがなで良いと思いますけど。
別に「深い文学的な意図がある」というわけでは、なさそうです。
単に、パソコンの変換機能の使い過ぎでしょうか。
もっと困るのは「これで正しいのか?」と思わされる言い回しが、すごく多いんですよ。
・救いの権現、殺意の権現
何度か出てきました。
例えば「救いの神」なら、良くある表現です。
百歩譲って「権化」なら、例えば「悪の権化」があるので「アリ」かと思います。
念のため、ウィキペディアで確認。
権現とは歴史民俗用語。
仏が衆生を救うために、神・人など仮の姿をもってこの世に現れること。
権化と権現、ほとんど同じ意味のようですが。
でも、ヤフーで検索しても、このような用例は出てきません。
・監督の望んだものを蔵出す
意味不明です。
「繰り出す」の間違いでしょうか?
CS放送の「蔵出し名画座」にかけているわけでもないでしょう。
・歳の頃はニ十歳
これは「年の頃」が普通でしょう。
騒ぐほどでもありませんが。
・夢のような記録媒体は、多くの人が所望している夢の代物
「夢」が二度出てきます。
「所望」:ある物がほしい、またこうしてほしいと、望むこと。
例えば「殿様が茶を所望する」というように「存在するもの」を望む場合の言葉でしょう。
この文のように「存在しないもの」を望む場合は、例えば「希求」とか。
・煩雑とした事情が絡み合い
「煩雑な」でしょう。或いは「混沌とした」。
・知識の量だって比にならない
これは単なる脱字かも知れません。
「比較」「比べもの」でしょう。
・サイレントからトーキーへの変遷時代
意味は分かりますが。
「変遷時代」という言い回しはないと思います。
念のためネットで検索しても出てきません。
「時代の変遷」なら良いでしょう。
「移行期」「変革期」あたりが一般的でしょうか。
・絢爛なドレス
ネット辞書からコピペ。
「絢爛」 :「豪華絢爛」「絢爛たる~」などの形でよく使われています。
・結婚式の途中で駆け出す花嫁が現実では赦されないみたいに
「赦」:国家・皇室に吉凶の大事があったとき、特に囚人の罪をゆるしたこと。
ここは普通に「許されない」でしょうね。
・父親達の星条旗
映画のタイトルは「父親たちの星条旗」。
つい変換してしまったのでしょう。
・利用するときは骨まで、が嗄井戸高久の本懐である。
おいおい、敵討ちですか?
「本懐」:もとから抱いている願い。本来の希望。本意。本望。「本懐を遂げる」
この場合は、例えば「方針」「モットー」とか。
・俺は自業自得の軌跡を辿った。
意味不明。
・君の方にも理がない
前後の文脈から「利」がない、のようです。
・破れない密室はそれこそ丸々干渉してしまえばいいのだ
意味不明。
3巻
・心神はまるで喪失状態
四文字熟語「心神喪失」を、ばらして使っているのでしょうが。
・凄惨に殺された
「凄惨な殺され方をした」ですね。
・凄絶な孤独
言いたいところは分かりますが、どうでしょう。
・俺の煩悶を他所に
「煩悶」:もだえ苦しむこと、心を痛めて思い悩むこと
文脈から、ためらった程度で使うのはどうか。
・小宮先輩は非の打ちどころのない先輩だったし
先輩が重なっている。
・珈琲を飲み下しながら
「飲み下す」:飲み込んで胃のほうへ送る。
単に「飲みながら」か「飲み干す」でしょう。
・こんなに身近に映画スキが潜んでいたとは侮れない
何を?
・映画に被れている
「被る」は「帽子を被る」などに使う漢字なので、誤変換ですね。
漢字なら、これでしょう。
「気触れる」:皮膚が炎症を起こし、赤くかゆくなる。
あるものの影響を強く受けて、その風 (ふう) に染まる。
普通は、ひらがなですね。
・デロリアンの影は形も無い
デロリアン「は」影も形も無い。
・狂気的な絵面、短時間の消失すぎる
これらは、若者言葉なら、ありでしょうか。
・他の見送りと鉢遭う
「鉢合わせする」のことでしょうか。
・デロリアンの行方には後ろ髪を引かれるだろう
後ろ髪を引かれる「思いがする」だろう、ですね。
ざっと、こんな具合です。
出版社の編集とか校正の担当者は、どんな仕事をしているのでしょう。
我ながら性格が悪いです。
ストーリーを楽しみながら、気になるとネットで言葉を検索して確認する。
パソコンでメモを取る。
読みながら、間違い探しゲームのような気持ちになってきました。
疑問点を幾つ見つけられるか、どう疑問に思ったのか。
大学の国文学科あたりで、ゼミのテキストとかゲームに使えそうです。
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