見てきました!!! 映画「ノマドランド」
映画「ノマドランド」
第93回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞。
第77回ヴェネツィア国際映画祭で最高賞の金獅子賞。
その他受賞実績多数の、高評価映画です。
文春オンラインによる、あらすじは以下の通り。
https://bunshun.jp/articles/-/44156
大手会社の石膏採掘とその加工工場で栄えたネバダ州の町、エンパイア。
不況により町そのものが消滅し、仕事と住居を同時に失った60代のファーン(フランシス・マクドーマンド)は、亡き夫の思い出を乗せたキャンピングカーで、町を出る。
車上生活をしながら、生活費を稼ぐために、Amazon配送センターや国立公園のスタッフなど、季節労働の現場を渡り歩き、ノマド(遊牧民)として生きる人たちとの出会いと別れ、再会を繰り返す。
印象深い言葉が二つ。
学校の「代用教員」をしていたファーンが町を出る際の、教え子だった少女との会話。
「先生はホームレスになったの?」
「いいえ、ホームレスじゃなくてハウスレス」
物理的な家=ハウスはなくても、心の拠りどころ=ホームはある、ということでしょう。
ノマド仲間のリーダー格の老人ボブの言葉。
「別れの挨拶は、goodby ではなく、see you down the road」
down the roadは、物理的な「この道の向こう」と、時間的な「将来」の二つの意味があるのですね。
「さようならは言わない、いつかどこかでまた会おう」
ファーンの日々が淡々とつづられます。
ノマド仲間との交流。
様々な臨時雇用での仕事の様子。
パンクなどのトラブルを助けてもらったり。
エンドロールを見て気付きます。
ノマド仲間は、みな役名と実名が同じです。
具体的には覚えていませんが、ボブ役=ボブ・マーリー というように。
つまり彼らは「本物のノマド」なのですね。
エンジンの故障で万策尽きて、豊かな暮らしをしている妹を頼ったり。
息子の家で 暮らすノマド仲間の男性から「一緒に暮らそう」と言われたり。
その気になれば、定住して穏やかに暮らす機会が、一度ならず出てきます。
それでもノマドという生き方を選ぶ彼女。
かつての夫との生活の写真や、割れたお皿を修理する様子も描かれます。
お遍路さんの「同行二人」のような気持ちなのでしょうか。
三月に見た映画「すばらしき世界」が思い出されます。
2021年3月14日(日) 見てきました!!! 映画「すばらしき世界」
刑務所を出た三上正夫も、様々な人と出会い、彼らと共に新しい生活を探します。
ファーンも、かつての暮らしの知り合いやノマド仲間や妹など、多くの繋がりがあります。
それだけでも、ずいぶん幸せだよな、なんて思ってしまいます。
まぁねぇ。
「他者との付き合い全くなしで、孤独死する前科者やノマド」では、映画になりませんものね。
現実と物語の絶妙のバランス、といったところでしょうか。
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