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2021年7月 1日 (木)

女子高生バイクアニメ「スーパーカブ」原作をチェック

テレビアニメ「スーパーカブ」全12話の放映が終わりました。
「スーパーカブ」
https://supercub-anime.com/
Supercubanime_202103

ひとりぼっちの女の子と、
世界で最も優れたバイクが紡ぐ、
友情の物語。

この機会に、原作について。
ウィキペディアでは以下の通り。
2016年3月より小説投稿サイト『カクヨム』(KADOKAWA)にて掲載が開始され、
角川スニーカー文庫より2017年5月から書籍版の単行本が刊行されている。
投稿サイトから見込みのありそうな作品が選ばれ、書籍化されるのですね。

私は最初にコミカライズを読んで、その後にカクヨムで原作小説を読みました。
作者の投稿をそのまま掲載しているのでしょう。
句読点がおかしかったり、タイプミスがあったりしましたが、まぁタダですからね。
こんなモンだと思って、全話読みました。
今回、再度「カクヨム」を見ましたら。
嬉しいことに「角川スニーカー文庫版」第一巻が丸ごと無料公開中です。

この機会に、オリジナルと書籍版の違いをチェックしてみましょう。
以下、第一話の冒頭です。


スーパーカブ(オリジナル)
第1話 ないないの女の子

山梨県北杜市。
 中央本線の日野春駅から市の中心部に至る道を、一人の少女が自転車で走っていた。
 ブレザー制服の下にジャージをはいた小柄な少女。
 おかっぱ頭にうっすらリンゴ色のほっぺ。美少女と言うには小さく野暮ったい目。東京や神奈川の郊外に居ても、田舎の女学生という印象しか抱かれないような女の子。
 少女の名は小熊。外見の田舎っぽさを更に盛り足すような名前をつけた人間に文句を言おうにも、それは不可能だった。
 小熊は天涯孤独の一人ぼっちという奴だった。
 父親は小熊が生まれて間もなく事故で死に、さほど多額でなかった父の遺産を切り崩しながら小熊を育てた母親は、小熊が高校に進学した直後、お役目終了とばかりに失踪宣言の紙切れを残して姿を消した。
 高校に入っていきなり親を失った小熊。父母が駆け落ちに近い形で結婚したこともあって疎遠だった祖父母もとっくに没していた。


スーパーカブ(書籍版)【大増量試し読み】
(1)ないないの女の子
 山梨県北杜市(ほくとし)。
 中央本線の日野春(ひのはる)駅から伸びる下り坂は、国道を越えると緩い登りになる。
 初夏の陽(ひ)の下で、一人の少女が自転車を漕こいでいた。
 制服の下にジャージをはいた小柄な少女。
 おかっぱ頭にうっすらリンゴ色のほっぺ。美少女と言うには小さく野暮ったい目。東京や神奈川の郊外に居ても、田舎の女学生という印象しか抱かれないような女の子。
 少女の名は小熊(こぐま)。外見の田舎っぽさを更に盛り足すような名前をつけた人間に文句を言おうにも、それは不可能だった。
 高校二年生の小熊は天涯孤独の一人ぼっちという奴だった。
 父親は小熊が生まれて間もなく事故で死に、さほど多額でなかった父の遺産を切り崩しながら小熊を育てた母親は、小熊が高校に進学した直後、お役目終了とばかりに失踪宣言の紙切れを残して姿を消した。
 高校に入っていきなり親を失った小熊。父母が駆け落ちに近い形で結婚したこともあって疎遠だった祖父母もとっくに没していて、頼れる身寄りと言える親族は居なかった。


変更点をチェック。

オ:市の中心部に至る道
書:国道を越えると緩い登りになる

ただの道ではなく、登り坂なのが分かります。

オ:ブレザー制服の下にジャージをはいた
書:制服の下にジャージをはいた

ブレザーを省いて、イラストや漫画やアニメ化の際、制服の描き方の自由度が上がるのでしょうか?

オ:少女の名は小熊。
書:少女の名は小熊(こぐま)。

フリガナが付いています。
私は、「おぐま」か「こぐま」の、どちらだろうと思っていました。
当然の配慮ですね。

オ:小熊は天涯孤独の一人ぼっち
書:高校二年生の小熊は天涯孤独の一人ぼっち

オリジナルでは、制服を着ていることしか分かりません。
制服のある専門学校生かも知れませんし、もちろん学年も分かりません。
早い段階で学年を明確にして、読者の理解の助けとするのですね。

オ:祖父母もとっくに没していた。
書:祖父母もとっくに没していて、頼れる身寄りと言える親族は居なかった。

オリジナルでは、祖父母以外の親族がいる可能性が残ってしまいます。
先の学年同様、厳密な定義をするのですね。


もう一か所、チェックしてみます。
オリジナル:第22話 スピード
書籍版:(16)スピード

オ:50kmを超えたあたりで、小熊は速度に恐怖を覚え始めた。
書:メーター目盛りの後半、そのまた半分まで針が進んだあたりで、小熊は速度に恐怖を覚え始めた。

原付一種ですからね。具体的なこの速度はマズいでしょう。


なるほどねぇ。
出版社の編集担当が、しっかり仕事をしているのですね。
担当者が、原稿が真っ赤になるくらい「赤ペン」を入れている光景が、目に浮かびます。


最後にもうひとつ。
同じ話「スピード」の中です。

オ:納車してから今までの走行距離は50km弱。
書:全文削除

クルマやバイク好きには有名な「納車の誤用」ですねぇ。

goo辞書
納車(のうしゃ)の意味
[名](スル)販売業者が購入者に自動車などを納入すること。また、修理や車検の終わった車を依頼者に届けること。

販売店が納車して、ユーザーは納車されるわけで。
こんな小説を書く人が、どうしてこんな基本的な誤用をするか、不思議です。

この為かは分かりませんが、文庫版では段落全体が削除されていました。

 

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