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2022年6月14日 (火)

再読です 池波正太郎「幕末新選組」・司馬遼太郎「燃えよ剣」

「鎌倉殿の13人」で思い出した、ふたつの小説。
結局、両方とも面白くて、全部読み返してしまいました。

池波正太郎「幕末新選組」
主人公は「永倉新八」
新選組の最初からの隊士の一人で、幕末を生き残り、大正年間まで生きた人物。
近藤勇や土方歳三の振る舞いを、一歩引いた立場から描きます。
新選組が力をつけると、二人はすっかり偉くなってしまう。
近藤も土方も、このごろでは、いよいよ近よりがたくなってきている。
 二人とも、毎日、仕立ておろしのような黒紋付の羽織、仙台平のパリパリするような袴をつけ、
胸をそらし、廊下ですれ違ったときなど、新八が頭を下げると、
「うむ……」
 挨拶を返す近藤の頭は下るかわりに、ぐぐっと反り返ってしまうのだ。
(近藤さんも、とうとう成り上り者になってしまやァがったな)
 苦々しくて、たまらない。
新八の語った、こんな言葉も出てきます。
なあに、明治維新なんてえものはね、つまり薩長たち雄藩と徳川との争いさ。
いまのような文明開化の世が来たのも、そいつは時勢というやつでね。
つまりは日本国民がえらいのだよ

司馬遼太郎「燃えよ剣」
主人公は土方歳三」
自らを「喧嘩師」として、最後まで戦う姿が描かれます。
先の「幕末新選組」では、近藤勇と土方歳三の二人をまとめて「成り上がり」として描いていました。
こちらでは、近藤勇はほぼ同様ですが、土方歳三は新選組を強くすることだけを考えている、と描かれます。
時々入る、著者のコメントが面白い。
例えば、こんな感じです。
鳥羽伏見の戦い・その一
 数日前、筆者は、歳三がいた伏見奉行所あとを訪ねるために、京都から伏見街道を南下してみた。
 途中、
「御香宮」
 という広大な神域をもつ神社がある。道路の西側に森をなしている。
 そのわずかに南、御香宮よりおそらく十倍はひろかったであろう地域に、
「伏見奉行所」
 は、塀をめぐらせていた。
「いま、どうなっています」
 と、御香宮の神主さんにきくと、
「団地どすわ」
 と、吐きすてるようにいった。
(中略)
 私は、ぼう然と、団地風景を見渡した。
 日本歴史は関ケ原でまがり、さらに鳥羽伏見の戦いでまがった。
 その場所にひとかけらの碑もなく、ただ団地は、見渡すかぎり、干し物の列である。

このあとも、すごいんです。
「暑うおすな」
 と、偶然、知人から声をかけられた。
 伏見の葭島で川魚を獲っているおやじで、京都の老人らしく、錆びさびとした声を出す。
「あの年は、寒おしたそうどすな」
 と、老人は、曾祖母から聞きつたえているはなしをしてくれた。
「お奉行所のそばに、小ぶななどがいる水溜りがおして、そこに暮から正月にかけて一寸ほどの氷が張っていたそうどす」
当時の様子の伝え聞き。
昭和30年代の取材時の話でしょうが、さすがは京都ですねぇ。

土方歳三が、愛する女性と過ごした京都最後の二日間。
 西昭庵には、茶室がある。
 そのあと、お雪は、炉の支度などをして、歳三をよんだ。歳三は、炉の前にすわった。
「私には、茶ができない」
「お喫みになるだけでよろしゅうございます」
「この菓子は?」
「京の亀屋陸奥の松風でございます」

以前、頂きもので食べたお菓子が出てきました。
2015年9月24日(木) 頂きました京都土産「亀屋陸奥の松風」
この時は流してしまいましたが、ここに出ていたのですね。

さてこの後は、司馬遼太郎「新選組血風録」ですかね。
或いは、戦国時代に飛んで池波正太郎「蝶の戦記」「火の国の城」あたり。

「鎌倉殿の13人」から、話は大きく飛んでしまいました、これくらいで終りにします。

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