見てきました!!! 映画「PLAN75」
遅ればせながら。
2022年6月17日公開の映画です。
舞台は、75歳以上が自ら生死を選択できる制度「PLAN75」が施行された近未来の日本。
主人公は78歳の角谷ミチ。
演じるのは、倍賞千恵子。
言うまでもなく「男はつらいよ」の「さくら」です。
無論のこと、全く別の映画なのですが、イメージは被ってきます。
人口増加や貧困対策としての「口減らし」を描いた映画といえば。
1973年「ソイレント・グリーン」舞台は2022年の荒廃したニューヨーク。
1983年「楢山節考」舞台は山奥の寒村。
いずれも私は大昔に見たきりですが、暴動とか飢餓とか姥捨てとか、どちらも悲惨な描写ばかり。
これらに対し、こちらは淡々とした描写が続きます。
とは言っても、角谷ミチさんの暮らしは、徐々に深刻さを増して行きますが。
夫と死別し、ひとりアパート暮らし。
ホテルで働いている時は、同年配の友人もいて、それなりに楽しそう。
それが、職を失ってからは、もう大変。
職場の友人と連絡が取れず、様子を見に行くと孤独死していたり。
仕事が見つからず、夜の道路工事の誘導員をしたり。
ふぅー。
リアルで厳しい描写が続きます。
そしてついに万策尽きて「PLAN75」に申し込み。
支度金が10万円支給され、週に一度担当者が電話でフォロー。
さて、その日がやって来ます。
出前のお寿司を食べて、寿司桶はきれいに洗って外に出して。
指示通り、ドアにはカギをかけずに「センター」へ・・・
彼女と並行して「PLAN75」に関わる人々も描かれます。
「PLAN75」担当の若い青年。
窓口担当として働いています。
申請に来たのは、長いこと音信不通だった実のおじさん。
フィリピン人のシングルマザー。
新しく紹介された仕事は「PLAN75」に申し込んだ人の遺品整理。
バッグの中身をぶちまけ、ごみとして仕分けたり。
同僚のおっさんが金目のものをネコババしたり。
「PLAN75」コールセンターの若い女性。
角谷ミチさんの担当として、週に一度電話でお話。
思い出話に付き合って、時間が来てベルが鳴ったらおしまい。
角谷ミチさんに頼まれて、休日に一緒に出掛けたり。
こういった脇役の描写も、リアルで大変面白いです。
もちろん、新制度「PLAN75」もリアルに描かれます。
マイナンバーカードか何かのような、いかにも明るいポスターや説明会。
更に、対象年齢を75歳から引き下げを検討中というニュース。
市役所窓口のような申込み窓口。
「気が変わったら、いつでも中止できますからね」という説明。
申込者には、支度金10万円。
支度金10万円は、多いのか少ないのか。
申込む人は、必ずしも「一文無し」ばかりではないでしょう。
制度として、残された財産の扱いは、どうなっているのでしょう?
相続人なし負債ありの場合、国が肩代わりするのでしょうか?
まさか「負債のある人は制度利用不可」では、まずいですよねぇ。
実施施設が、いささか簡素に過ぎるのが気になりました。
簡単なカーテンで仕切られたベッドが並んでいて。
「処置」の前には、一人でそこで待って下さいと。
いやー。
これはないでしょう。
せめて、ゆったりした個室で環境ビデオでも流して。
穏やかな雰囲気で、苦しまず一瞬で終わるような処置方法でお願いしたいものです。
確か「ソイレント・グリーン」でも、そんな描写があったと思います。
ウィキペディアで確認。
ありゃ。
先にも書きましたが。
あの映画って、舞台は2022年=今年だったのですね。