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2022年7月28日 (木)

見てきました!!! 映画「PLAN75」

遅ればせながら。
2022年6月17日公開の映画です。

舞台は、75歳以上が自ら生死を選択できる制度「PLAN75」が施行された近未来の日本。
Plan75_202206
主人公は78歳の角谷ミチ。
演じるのは、倍賞千恵子
言うまでもなく「男はつらいよ」の「さくら」です。
無論のこと、全く別の映画なのですが、イメージは被ってきます。

人口増加や貧困対策としての「口減らし」を描いた映画といえば。
1973年「ソイレント・グリーン」舞台は2022年の荒廃したニューヨーク。
1983年「楢山節考」舞台は山奥の寒村。
いずれも私は大昔に見たきりですが、暴動とか飢餓とか姥捨てとか、どちらも悲惨な描写ばかり。

これらに対し、こちらは淡々とした描写が続きます。
とは言っても、角谷ミチさんの暮らしは、徐々に深刻さを増して行きますが。
夫と死別し、ひとりアパート暮らし。
ホテルで働いている時は、同年配の友人もいて、それなりに楽しそう。
それが、職を失ってからは、もう大変。
職場の友人と連絡が取れず、様子を見に行くと孤独死していたり。
仕事が見つからず、夜の道路工事の誘導員をしたり。
ふぅー。
リアルで厳しい描写が続きます。
そしてついに万策尽きて「PLAN75」に申し込み。
支度金が10万円支給され、週に一度担当者が電話でフォロー。
さて、その日がやって来ます。
出前のお寿司を食べて、寿司桶はきれいに洗って外に出して。
指示通り、ドアにはカギをかけずに「センター」へ・・・

彼女と並行して「PLAN75」に関わる人々も描かれます。
「PLAN75」担当の若い青年。
窓口担当として働いています。
申請に来たのは、長いこと音信不通だった実のおじさん。
フィリピン人のシングルマザー。
新しく紹介された仕事は「PLAN75」に申し込んだ人の遺品整理。
バッグの中身をぶちまけ、ごみとして仕分けたり。
同僚のおっさんが金目のものをネコババしたり。
「PLAN75」コールセンターの若い女性。
角谷ミチさんの担当として、週に一度電話でお話。
思い出話に付き合って、時間が来てベルが鳴ったらおしまい。
角谷ミチさんに頼まれて、休日に一緒に出掛けたり。
こういった脇役の描写も、リアルで大変面白いです。

もちろん、新制度「PLAN75」もリアルに描かれます。
マイナンバーカードか何かのような、いかにも明るいポスターや説明会。
更に、対象年齢を75歳から引き下げを検討中というニュース。
市役所窓口のような申込み窓口。
「気が変わったら、いつでも中止できますからね」という説明。
申込者には、支度金10万円。

支度金10万円は、多いのか少ないのか。
申込む人は、必ずしも「一文無し」ばかりではないでしょう。

制度として、残された財産の扱いは、どうなっているのでしょう?
相続人なし負債ありの場合、国が肩代わりするのでしょうか?
まさか「負債のある人は制度利用不可」では、まずいですよねぇ。

実施施設が、いささか簡素に過ぎるのが気になりました。
簡単なカーテンで仕切られたベッドが並んでいて。
「処置」の前には、一人でそこで待って下さいと。
いやー。
これはないでしょう。
せめて、ゆったりした個室で環境ビデオでも流して。
穏やかな雰囲気で、苦しまず一瞬で終わるような処置方法でお願いしたいものです。

確か「ソイレント・グリーン」でも、そんな描写があったと思います。
ウィキペディアで確認。
ありゃ。
先にも書きましたが。
あの映画って、舞台は2022年=今年だったのですね。

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