見てきました! 午前十時の映画祭12「蜘蛛巣城」その2
2022年12月3日(土)です。
懐かしの名作映画の上映企画「午前十時の映画祭」で、黒澤明「蜘蛛巣城」を見てきました。
2022年12月3日(土) 見てきました! 午前十時の映画祭12「蜘蛛巣城」
黒澤映画の中で「蜘蛛巣城」は、いささかアレだと思うのですが。
どこがどうアレなのか、一応書いておきます。
お城と周囲の森について。
お城の周囲は、慣れない人は迷ってしまうほどの深い森「蜘蛛手の森」に囲まれています。
このことから、お城は「蜘蛛巣城」と言われています。
映画冒頭、騎馬の武将、鷲津武時(三船敏郎)と三木義明(千秋実)が慣れているはずの森で迷います。
二人が森の中を馬で駆け抜けるシーンが続きますが。
残念。
そこが「城を囲む深い森」であることは、二人のセリフで説明されるだけ。
俯瞰的に、森と城の位置関係を表すような描写があれば良いのに。
その後「蜘蛛巣城」に到着。
迫力ある大規模なセットですが。
残念。
霧が立ち込め、周囲は草一本生えていない荒野です。
私には「深い森に囲まれた城」というようには、感じられません。
森の中で「謎の老婆」が二人の未来を予言します。
老婆は「蜘蛛手の森が動かぬ限り、戦に敗れることはない」と語ります。
これは「間違いなくそうなる」という、良くある例え話のように聞こえます。
これが、ラストの「森が動く」シーンの伏線になっています。
最後に、鷲津武時は「森が動く」様子を見て、恐れおののきます。
実は、三木義明が森の木を切り盾の代わりにして攻め込んできたのです。
残念。
動く前の森の俯瞰的な描写がないので「動く前の森」と「動き出した森」が対比できません。
ですので、見ている私には「森が動く」衝撃が、あまり伝わりません。
黒澤映画の見どころと言えば、大軍勢の合戦シーン。
この映画では、ほとんど出てきません。
冒頭の戦のシーンは、殿さまや武将の前に伝令が次々と駆け込んで、戦況を報告するだけ。
ラストでも、大軍勢が激突するような描写はありません。
鷲津武時がただ一人、飛んでくる矢から必死に逃げ回るだけ。
というわけで。
他にも、能面のような鷲津武時の妻の浅茅など。
固定の舞台セットで、俳優個人が主にセリフと身振りで話を進める。
そんな「舞台劇を映画に翻案した」作品なんですね。
前作「七人の侍」や次作「隠し砦の三悪人」のような「痛快娯楽時代劇」とは異なるジャンルの作品と考えるべきなのでしょう。
更に言ってしまえば。
「面白い映画」ではなく「見るべき映画」というような。
今の選考委員の「したり顔」が、思い浮かんでしまうような。
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