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2023年1月20日 (金)

映画「非常宣言」で違和感「非常宣言を布告」

先日見た韓国映画「非常宣言」です。
Hijyo_1_202301
気になる言い回しがあったので、書いておきます。
記憶で書いていますので、間違いがあるかも知れませんが。

公式サイトには、こんな文章が。
Hijyo_3_202301
「非常宣言」
飛行機が危機に直面し、
通常の飛行が困難になったとき、
パイロットが不時着を要請すること
“これ”が布告された航空機には優先権が与えられ
他のどの航空機より先に着陸でき、
いかなる命令を排除できるため、
航空運行における戒厳令の布告に値する

この文章自体、かなりアヤしいです。
「“これ”が布告された航空機」「“これ”を 布告した航空機」
「いかなる命令を排除」
「いかなる命令をも排除」でしょう。

ここでは「布告」 について。
上の方の文章では「非常宣言」「発動」と書いています。
それに対し、枠内の文章や映画中では「布告」としていたようです。
言葉の使い方としても航空用語としても、どうなのでしょう?

思い出すのは、映画「ハッピーフライト」です。
綾瀬はるかや時任三郎が出演した、2009年の作品です。
この映画の中で、こんなシーンがあったように記憶しています。
管制官「緊急事態を宣言しますか?」
機長「はい!」

そもそも「布告」なんて、普段はまず使わない言葉ですよね。
戦記物で見かける「宣戦布告」以外、用法が思いつきません。
念のため、ネットの辞書で確認。
1広く一般に告げ知らせること。
2国家の決定的意思を、国民や相手国に公式に知らせること。「宣戦を―する」
3明治19年(1886)以前に発布された法律・勅令・省令にあたるものの称。「太政官 (だじょうかん) ―」

まず「言葉の使い方」として。
ここでは「広く一般に告げ知らせること」と言う意味で使っているのでしょう。
ですが。
航空機と空港の管制官の一対一の通信の中で言っているわけですよね?
「広く一般に告げ知らせ」を行っているわけではないでしょう。
周囲の航空機も通信を傍受するのかも知れませんが、それは情報として聞いているだけで。
空港の管制官が事態を確認の上、周囲の航空機なども含めて具体的な指示を「告げ知らせ」するのではないかと思います。
拡大解釈で「決定的意思」という意味と解釈できなくもないでしょうが。
一般的な用法とは言えないでしょう。

次に「航空用語」として。
ネットで検索すると、こんなサイトが見つかりました。

国土交通省の「イレギュラー運航の発生状況」
https://www.mlit.go.jp/koku/15_bf_000191.html
イレギュラー運航とは(中略)
直ちに運航の安全に影響を及ぼすような異常事態ではありません。
このサイトから、月別の発生状況も見られます。
「イレギュラー運航の発生状況(令和4年12月)」
https://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr1_000122.html
こんな表現がありました。
飛行中、副操縦士席側の操縦室窓にひび割れが発生したため、緊急事態を宣言の上、目的地を変更した。

というわけで。
航空用語としても「非常宣言を布告」ではなく「緊急事態を宣言」が正しいようです。

なぜ、このような苦しい言葉を使ったのでしょうか?
この映画の原題は「Emergency Declaration」です。
普通に訳せば「緊急事態宣言」ですよね。
それがなぜか、邦題は「非常宣言」に決まって。
もしかしたら、字幕でも邦題をそのまま使うよう指示が出て、
仕方なくこんな表現になった、のでしょうか?

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