見てきました!!! 映画「仕掛人・藤枝梅安」
「仕掛人・藤枝梅安」が映画化されました。
「池波正太郎 生誕100年企画」だそうです。
2023年2月3日と4月7日公開の二部作です。
その一作目を見てきました。
仕掛人の二人は「藤枝梅安」を豊川悦司、相棒の「彦次郎」を片岡愛之助、いずれも良い感じです。
特に良かったのは、梅安に仕掛を依頼する「羽沢の嘉兵衛」の柳葉敏郎ですねぇ。
池波正太郎の長編三作「藤枝梅安」「鬼平犯科帳」「剣客商売」いずれにも登場する人物です。
きちんとした身なりで穏やかな口調は、まるで堅気の大店の主人のよう。
ところが、実は隠然たる勢力を持つ香具師の元締。
更に裏社会では「蔓」と呼ばれる暗殺の仲介者。
そのような二面性三面性を、うまく表現して大変格好良かったです。
他にも、梅安の世話をする百姓婆さんの高畑淳子や、悪女の天海祐希など、みなさん良いですねぇ。
池波正太郎の時代劇に欠かせない、旨そうな料理も、うまく表現されていました。
例えば、原作では、こんな感じです。
やがて、小さな焜炉に土鍋をかけたものが、はこばれてきた。
中には大根と油揚げのみであった。
「出汁が鶏さ。ま、食べてごらん」
「む……悪くねえ」
「こういうものも、たまにはいいだろう」
「いいね。うめえよ」
池波正太郎.殺しの四人 仕掛人・藤枝梅安(一)(講談社文庫)(p.68).講談社.Kindle版
映画では、大根と油揚げに鶏肉も入っているらしい鍋が登場。
梅安は小さな竹筒の栓を取って、何かを振りかけていました。
原作では、別の料理ですが大根と浅蜊を煮たものに「七色蕃椒(なないろとうがらし)」をかけていたので、きっとそれなのでしょう。
その他、料理の煮立つ音や水の流れる音など、音響面も良い効果が出ていたと思います。
さて。肝心の「仕掛」です。
梅安は細くて長い仕掛針、彦次郎は毒を塗った吹き矢。
特にこの吹き矢がうまい。
矢が命中しても、毒が回るのには多少の時間がかかります。
その間に現場を離れてしまえば、犯人として見つかることはありません。
ところが。
後半で、梅安に襲いかかる刺客に対し、彦次郎が吹き矢で応戦します。
今度は逆に、命中しても毒が回るのに時間がかかり、危機に陥る。
原作にはない描写ですが、うまいですねぇ。
というわけで。
原作のイメージを損なわない、重厚な本格時代劇といった感じで、大変良かったです。
4月の続編が楽しみです。
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