見てきました!!! 午前十時の映画祭12「無法松の一生(三船敏郎版)」その2
午前十時の映画祭12の最後を飾る「無法松の一生(三船敏郎版)」。
1943年の阪東妻三郎版で検閲削除されたシーンが復活した、1958年のリメイク版です。
本来のシーンのおかげで、松五郎が未亡人に思いを寄せる様子が、良く伝わってきます。
「乱暴者が、手の届かないような女性に思いを寄せる」。
あぁ。
この感じは「男はつらいよ」そのものですねぇ。
1943年版でもぼんやりと思ったのですが、1958年を見ると一層強く感じました。
例えば、こうです。
・「困っている女性を親身に助ける」これはもう、いつものパターン
・「花火の見える縁側で語り合う」これは、京マチ子の「純情詩集」や吉永小百合の「恋やつれ」
・「わしの心は汚ない」と自己嫌悪に陥る、これは大原麗子の「真実一路」
更には、松五郎は人力車夫。寅次郎の名字は「車」ですし。
もちろん、こちらの方が古い作品です。
「男はつらいよ」のルーツがこの映画なのでしょう。と言うべきですね。
明治の風俗描写と言う意味でも、色々と面白いです。
提灯行列の様子や、旧制中学と師範学校の喧嘩。
お祭りの屋台では、一匹ずつの型で焼くたい焼き、足踏み式で回転させる綿あめなど。
そのほか、見どころいっぱい。
松五郎がお客そっちのけで、幼い息子の面倒を見る。待たされた客の滑稽な仕草。
くるくる回る人力車の車輪など、映像の美しさ。
三船敏郎の無法者振りは、1954年の「七人の侍」の菊千代のよう。
阪東妻三郎との演技の違いと言った話は、やめておきます。
アラさがしをひとつ。
大尉の名字「吉岡」について。
表札などは「士に口」ではなく、下の長い「土に口」でした。
ところが、角塔婆だけ「士に口」で書かれていたようでした。
我ながら性格の悪いことです。
これくらいにしておきましょう。
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