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2023年4月10日 (月)

見てきました!!! 映画「生きる LIVING」

2023年03月31日公開。
黒澤明監督、志村喬主演の「生きる」のリメイク。
脚本は日本生まれのノーベル賞作家カズオ・イシグロ。
Living_202304

映画館で席に座って上映を待つ間のルーチンですが。
何本もの予告映像などを見せられ、その後するするっと黒幕が動いて、さぁ上映開始。
こんな感じですよね。
ところがこの映画は「するするっ」がありませんでした。
なんと画面比は、昔ながらの「スタンダードサイズ」
カラーながら、抑えた色彩と質感の映像。
クラシカルな書体で、タイトルや俳優の名前など。
いやー。もうオープニングから引き込まれます。
そのあとは、縦横比はそのままですが、現代的な鮮明な映像に変わります。

さぁ始まりました。
舞台はオリジナルと同じ、1950年代。
年代は同じでも、敗戦から数年の日本と大英帝国では、ずいぶん風景が違います。

最初のシーンは、ロンドン近郊の通勤列車。
ピンストライプのスーツに山高帽、手には雨傘という、典型的な英国紳士
志村喬の猫背で目を大きく見開いた姿に対し、こちらは背筋を伸ばし毅然としています。

その後の展開は、黒澤オリジナル通り。
変化のないお役所仕事の様子、病院での癌の宣告、ちょっと折り合いの悪い息子夫婦との生活・・・

ストーリーは同じでも。各シーンの描かれ方は、かなり違います。
癌の宣告を受け、慣れない夜遊び。
オリジナル版では、騒がしい酒場で歌う「ゴンドラの歌」
大正時代の流行歌で、ピアノ奏者にも「あぁ昔の歌ね」などと軽く見られます。
志村喬が涙ながらに訥々と歌い、周囲は一気に白けます。
いのち短し 恋せよおとめ
朱き唇 褪せぬ間に
熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日の ないものを

一方こちらは「The Rowan Tree ナナカマドの木」というスコットランド民謡だそうです。
字幕までは覚えられませんが。
懐かしいふるさとの木の、四季の姿
それらと共に思い出す、家族の姿
そんな内容を、やはりピアノの伴奏で歌い、周囲の客も聞き入っていました。

元同僚の女性を遊びに誘います。
オリジナルでは手打ちのパチンコ
本作では、クレーンゲームなど。へぇーこの頃からあったのか。
彼女が取り出す、ゼンマイ仕掛けの犬のおもちゃ
おっ。オリジナルで、元同僚の女性が働く工場で作っていたものですね。
その後の食事は、オリジナルでは、お汁粉やお蕎麦やお寿司。
一方こちらは「フォートナム&メイソン」と聞いて、彼女は目を輝かせます。
へぇー。
私はただの高級紅茶のブランドだと思っていたのですが、ロンドンの老舗百貨店だったのですか。
そこで彼女が頼むデザートは、果物とナッツを乗せたサンデー。

衰えてくる主人公。
右手に持ったハンカチをさっと隠しますが、そこには吐血の赤い染み
これはカラー版ならでは。

二度目の「The Rowan Tree ナナカマドの木」は、雪の中のブランコ。
これは変えられませんよね。

どうも、いけませんねぇ。
どうしても、オリジナルとの対比という見方になってしまいます。
まぁね。鑑賞後数日を経てから、あれこれ思い出して書いているわけですからね。

鑑賞中は、すっかり引き込まれて見ていました。
全体として、オリジナルの「どよーん」とした「お役所仕事」や風俗描写に対して、
「しみじみ」しながらも明るめで、希望が持てるような結末になっていたと思います。

エンドロールでも、三度目の「The Rowan Tree ナナカマドの木」が流れます。
ここでも歌詞の字幕を付けてくれたら、ラストのしみじみ感が増したかも知れません。

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