見てきました!!! 映画「鬼平犯科帳 血闘」その2
2024年5月10日(金)公開の映画「鬼平犯科帳 血闘」について。
原作の池波正太郎「鬼平犯科帳」は、文庫版で全25巻(本編24巻+番外編1巻)全135作。
今回の映画は、以下の2作をベースにしているようです。
・文春文庫「鬼平犯科帳(四)」血闘
・文春文庫「鬼平犯科帳(五)」凶賊
いずれも「平蔵一人が多数の敵に囲まれ絶体絶命、そこへ手下が駈けつけ窮地を脱する」という展開のお話です。
原作の名セリフ名シーンが再現されていて、嬉しくなります。
私の本棚に並んでいる原作から、何か所か拾い出して転記します。
文春文庫「鬼平犯科帳(四)」血闘
密偵のおまさを救うため、平蔵は単身敵の隠れ家に乗り込む。
P.161
庭に、廊下に、駈けつけて来る盗賊どもの足音と声が近寄って来る。
平蔵は、左手に、倒れた賊の太刀をひろいあげた。
(二刀流か……)
この、はじめての経験に、むしろ平蔵は不敵な微笑さえうかべたものである。
多勢に無勢。追い詰められた平蔵のもとに、火付盗賊改方の手下が駆けつける。
それを見た平蔵は、安心してその場にへたり込む。
P.168
おどろいた佐嶋忠介が、
「ふ、深手を……?」
「いやなに、くたびれすぎて腰が抜けたのさ。おれも年だわ」
賊どもの悲鳴が、まだ、きこえている。
文春文庫「鬼平犯科帳(五)」凶賊
鷺原の九平の芋酒屋で、平蔵は居合わせた年増夜鷹のおもんを相手に、ひと時を過ごす。
P.176
「旦那。うれしゅうござんすよ」
「なぜね?」
「人なみに、あつかっておくんなさるからさ」
「人なみって、人ではねえか。お前もおれも、このおやじも……」
平蔵に好感を抱いた鷺原の九平は、店を出た平蔵の後をつける。
P.181
平蔵は役宅の潜門(くぐりもん)のところへ来ると、いきなり、うしろを振りむいたものである。
濠端の闇にしゃがみこんで、これを見まもっていた九平が、はっとくびをちぢめた瞬間、彼方の平蔵が、
「おやじ、御苦労」
大きく、声をかけてよこした。
ちなみに。
池波正太郎の長編シリーズ3作のうち、私は「剣客商売」が一番好きです。
シリーズ通しで、何度読み返したか分かりません。
もちろん「鬼平」や「梅安」も何度も通しで読んでいますが、数回程度に留まります。それも十年以上前のことです。
その程度の「ぬるいファン」の私にも、しっかり記憶に残っている名シーン。
全135作に及ぶ原作から、厳選して映像化しているのだと実感させられました。
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