県立図書館の映画会「マイスモールランド」
2024年9月6日(金)です。
埼玉県立久喜図書館の映画会に行ってきました。
2022年公開当時に見損ねた映画「マイスモールランド」です。
まずは、ざっとのあらすじ。
主人公は、埼玉県川口市に住む17歳の女子高生チョーラク・サーリャ。
幼い頃に家族とともに来日したクルド人。
母を亡くし、父、中学生の妹、小学生の弟との4人暮らし。
高校では成績優秀。小学校の先生を目指している。
大学進学の資金を貯めるため、コンビニでバイトをして、バイト仲間の聡太と友だちになる。
サーリャの日常は、家族の難民申請が不認定となったことから一変する。
一家は在留資格を失い「仮放免」となる。
これにより一家は、就労は禁止、無許可で県外に出ることもできず、健康保険にも入れない。
彼女は、大学の推薦入学を受けられない。
アルバイト先のコンビニもクビ。聡太の親族からは付き合いをやめろと言われる。
その後、更に状況は悪化します。
父は、生活のため「不法就労」して入管施設に「収容」される。
きょうだい3人だけ取り残され、家賃滞納でアパートから退去を求められる。
万策尽きた彼女は「パパ活」をして、客に襲われそうになる。
収容された父は、母国に戻れば逮捕されるリスクを承知で、一人での帰国を決意する。
それは「親が帰国する代わりに日本に残された子どもが難民として認定された」という事例を知ったから。
ラストシーンは、何かを決意したような彼女の横顔。
母国を持たないクルド人の歴史的経緯とか。
入管施設の収容期間は、多くは数年にわたるとか。
日本の難民認定率は極めて低いとか。
クルド人や難民の実態についても、うまく説明されています。
登場人物は善意の人がほとんどですが、出来ることには限りがあります。
弁護士。
「自費で病院に行くと大変だから、病気には気を付けよう」。
コンビニ店長。
「ごめん、不法就労はさせられない」。
今日までのバイト代に色を付け、弁当をいくつも持たせてくれる。
高校の進路指導。
「広い視野で進路を考えよう」。
友だちになった男子高校生。
「これ、少しだけど」。
監督は、川和田恵真という方。
是枝裕和監督が率いる映像制作者集団「分福」に在籍する新鋭だそうです。
なるほど。
是枝裕和監督の「誰も知らない」や「万引き家族」が思い起こされるような映画でした。
気丈な主人公に次々と重荷がのしかかる。分かりやすい展開で、どっぷり映画に浸ってしまいました。
社会的な課題を世に問うドキュメンタリーというわけではなく、青春モノとしても楽しめる。
先のような是枝裕和監督作品と同様、商業映画として充分成立していると思います。
とはいうものの。
私は、埼玉県在住ですしね。
この件については、それなりに見聞きする機会もあるわけです。
物事を、どういう視点から捉えるか。
二つめの視点を得るという意味でも、見ごたえのある映画だと思います。
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