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2025年7月11日 (金)

見てきました!!! 午前十時の映画祭15「砂の器」その2

映画「砂の器」について。
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公式サイトから2行拝借。
『砂の器』は1974年10月に公開されて大ヒット。
当時の配収7億円は、『日本沈没』『ノストラダムスの大予言』に次ぐその年の3位の高成績だった。


以下、思いつくままに。

題名の「砂の器」。
映画の冒頭と、最後の親子放浪のシーンで、子どもの一人遊びが描かれます。
砂山を作り真ん中をくぼませ水を注いで、砂をすくい上げ、それを板の上に並べています。
簡単に崩れ去ってしまう、砂の器。
そこから何を感じ取れば良いでしょうか。

「らい病」にからむシーン。
犯人は、妊娠した愛人が子どもを一人で産み育てると言うのを、厳しく拒絶します。
「らい病」の遺伝を恐れたのでしょう。
愛人役の島田陽子さんが、大変美しい。
ベッドから起き上がる際に、ちらっとおっぱいも見せてくれました。

刑事は「らい病」の療養施設にいる犯人の父を探し当てます。
犯人である現在の息子の写真を見せるが、父は「知らない」と言い張る。
今の自分の存在が、息子のためにならないと直感しての言葉なのでしょう。

うーん。
以前、軽井沢の施設を見学したことがあります。
・2014年7月26日(土) Breva750で「重監房資料館」を見学


推理小説の分類で、以下のような言葉があります。
・フーダニット(Who done it?)
「誰が殺ったのか?」犯人の解明
・ハウダニット(How done it?)
「どう殺ったのか?」犯行方法の解明
・ホワイダニット(Why done it?)
「なせ殺ったのか?」犯行動機の解明

この映画は、この三要素の比率が独特です。
「誰が」について。
犯人に行きつくまでの刑事の努力が、じっくりと描かれています。
映画前半の大きな見どころです。
「なぜ」について。
自分の過去を知る被害者を殺害したという、出来事だけが描かれます。
犯人が子どもの頃、親身に面倒を見てくれた元警察官です。
偽名で社会的成功を得ていることを暴露するようなことも、しないでしょう。
ではなぜ犯人は、、、様々な議論ができそうです。
「どう」について。
殺害のシーンも、死体さえも一切描かれません。
先のような見どころを思えば、それらはもう、どうでも良い要素ということでしょう。


ちょっとどうかと思う部分。
犯行時の血の付いたシャツを、細かく切って列車の窓から捨てる。
それを目撃した人がいて、物的証拠の発見につながる。
いやいやー。
窓から捨てたりしないで、どこかに埋めるとか燃やすとか。
いくらでも方法はあるでしょう。


その他にも、見どころは一杯。

1974年作品ですからね、街並みや風俗の面白さ。
やたらとタバコをふかしていたり、場末感漂う街並み。
街を行くのは、スピンドルシェイプのクラウン510ブルーバード
刑事の出張は、固そうなボックスシートの夜行列車。
当時は当たり前だったのでしょうが、今の感覚では相当に大変そう。

細かい話ですが。
コンサート会場は、我が埼玉県の「埼玉会館」でした。
しばらくご無沙汰ですが、若い頃に何度も行った場所で、ちょっと懐かしい。

キリがないので、このへんで。


ちょっと原作も、読み返してみましょう。
手持ちは処分してしまいましたので、図書館で借りてきました。
私の好きな、スピン=しおりひも の付いている新潮文庫。
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2025年7月10日 (木)

見てきました!!! 午前十時の映画祭15「砂の器」

映画「砂の器」
製作国:日本
製作年:1974年
カラー:カラー
スクリーンサイズ:スコープ
上映時間:143分
監督:野村芳太郎
出演者:
丹波哲郎
加藤 剛
森田健作
島田陽子
山口果林
笠 智衆
加藤 嘉
原作:松本清張
脚本:橋本忍・山田洋次
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公式サイトから2行拝借。
『砂の器』は1974年10月に公開されて大ヒット。
当時の配収7億円は、『日本沈没』『ノストラダムスの大予言』に次ぐその年の3位の高成績だった。


まずはジジイの昔語り。

この映画の公開当時、私は高校生。
友人とこの映画を見に行ったのですが、、、
大混雑のせいか友人が貧血を起こして、ロビーのベンチで休んでそのまま帰ってきました。

松本清張の原作は、その頃に読みました。
当時の私は、文庫なら毎分1ページで幾らでも読み続けられた乱読時代。
この本も、さほど私の好みでもなかったのですが、流行っていたので一応読みました。
細かい部分までは覚えていませんが、特にすごく良いとは思いませんでした。

犯人と父親の放浪の原因が「らい病」なのですが。
あの頃は、不治の病を扱った小説や映画などが、多くありました。
・吉永小百合の「愛と死をみつめて」、
・恋人の日高美奈が亡くなる「巨人の星」
・アメリカ映画「ある愛の詩」 などなど。
世間知らずのガキだった私は「あぁ、よくある難病ものね」といった受け止めでした。
病の苦しみ、不条理な差別など、自分には関係ない世界の話のように感じていました・・・


というわけで。
この映画は見る機会もなく、50年もたってしまいました。

当時を懐かしく思い、さほど期待もせず見に行ったのですが。
いやー。
すごく良かったです。

殺人の被害者は、誰にも恨まれることのない善人の元警察官。
彼を殺害したのは誰か?
じりじりと暑い夏。
地道な捜査を続け、真実に迫る刑事たち。

犯人は、順風満帆の人生を歩む新進気鋭の音楽家。
実は偽の戸籍で暮らしており、悲惨な出生の秘密を抱えている。


ミステリーとして、謎解きの部分も面白いのですが。
見どころは、クライマックスの演出。
以下の三つの情景が、交互に描かれます。

犯人は、新曲の「宿命」のコンサート会場で、重厚なピアノ演奏を披露します。
気がかりだった愛人もすでに亡くなり、満員の会場には、婚約者とその父親。
まさに人生の絶頂です。

それに重ねて、捜査会議で殺人に至る経緯の説明。
刑事は、犯人の出自や犯行動機の説明で、その宿命の悲惨さに、声を詰まらせます。

更に、犯人の子ども時代の情景。
父の「らい病」で、故郷を追われて放浪の旅を続ける親子の姿。
初めは巡礼姿ですが、時を経てみじめな姿になっていきます。
「乞食浮浪者犯罪者、当村に入るべからず」といった立札。
心ない駐在の警察官に追い払われたり。
子どもが石を投げて来たり。
見かけた小学校の様子を、じっと見つめる子ども時代の犯人。
そして、人情味ある警察官により救われるまで。

最後は、コンサート会場の裏手で、犯人の姿を見下ろす刑事。

いやー。
もうたまりません。
高校生のガキだった私も、今や60代後半です。
大した出来事もない平々凡々の人生ではありますが。
あれこれと思い浮かぶこともあり、やはり胸に迫るものがありますね。

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2025年1月18日 (土)

筒井康隆 小説「敵」読了 その2

2025年1月17日(金)公開の映画で「敵」というのがありまして。
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原作は、1998年に出版された筒井康隆の小説です。
おぉ。
これは懐かしい。

星新一小松左京筒井康隆をはじめ、平井和正半村良眉村卓光瀬龍高斎正広瀬正といった方々。
1970年に中学生になった私は、これらの方の文庫本を買い揃えるのが楽しみでした。
その後アルバイトでお小遣いに余裕が出る年頃には、ハードカバーの新作を楽しみにして。
朝の通学電車で友人と「ねぇ、今度出た新作読んだ?」などと話すのが楽しみだったり。
日本SF小説の第一期をリアルタイムで体験する。
思えば、ずいぶんと幸せな話です。

中でも、筒井康隆の初期のナンセンスやブラックユーモアに満ちた作品群は、好きでした。
少し背伸びをしたい中高生には、まさにツボだったように思い出されます。
その後の筒井康隆の作風の変化も、私にはちょうど良かったように思います。

そしてこの作品は、筒井康隆中期の傑作。
「旅のラゴス」などの後、断筆宣言騒ぎがあり、その後の作品。
この後も「私のグランパ」など良作が続きます。

この頃は、私ももう40代の中年男になっていました。
そして今や「敵」の主人公に近い年齢・・・

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2025年1月17日 (金)

筒井康隆 小説「敵」読了

2025年1月17日(金)公開の映画で「敵」というのがありまして。
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原作は、1998年に出版された筒井康隆の小説です。
おぉ。
これは懐かしい。
60代半ばの私には、星新一筒井康隆小松左京など、初期の日本SF作家は大好物です。

もちろん映画は見に行くとして。
その前に、原作小説を読み返さなくては。
当時のハードカバーが、ダンボール箱の奥底にあるはずなのですが、、、
利便性優先で、キンドルで買い直しをしました。
一度読み通して、最初からもう一度読み直して。
キンドルの検索機能で、登場人物の描写の履歴などチェックしたり。
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作品概要は、アマゾン解説文を抜粋します。
渡辺儀助、75歳。
大学教授の職を辞して10年。愛妻にも先立たれ、余生を勘定しつつ、ひとり悠々自適の生活を営んでいる。
料理にこだわり、晩酌を楽しみ、ときには酒場にも足を運ぶ。

この作品は、1998年発売。
筒井康隆氏は1934年生まれ。当時64歳。
私がこの作品を読んだのが40代前半、そして今は出版当時の作者の年代になりました。
主人公に近い年齢になり、やはり読後感は変わってきます。


主人公は、75歳の元大学教授。
生活のディティールが、ごく短い章立てで、詳細に描かれます。
料理や家計や友人関係や仕事などなど。
手を抜かず、自分の好みを貫く生活。
主人公の年齢に近づいてしまった今、これらの描写は、昔よりずっと好ましく感じます。

日常生活の中に、夢や独り言や妄想の描写が入ります。
夕食時、妄想の相手と口論になり、つい大声を出す。
翌日、隣家の人から「昨晩はお客様でしたか」などと言われてしまったり。

若い頃は、単純に「ボケ老人・認知症」の描写だと思いましたが。
いやいや、それより「明晰夢」の方が気になります。
どなたも経験があるでしょう。
明け方に見る、リアルな夢。
現実だと思っていると、目が覚めるにつれ、なんだかおかしいことに気付いてくる。
な~んだ、夢だったのか。
というような。
その延長での「妄想癖」
先のように、独り言が聞こえる程度で、誰に迷惑をかける訳でもなく。
結構じゃないですか。


四半世紀前の小説ですので、時代を感じる描写もあります。
主人公は喫煙者で、健康上の問題など無いと信じ込んでいます。
「がーほがほげほごほがほげこげこ」
私も当時はこんな感じでしたねぇ。
他人が見るほど本人はつらくない、というのも面白い視点です。
もう一つ。
インターネット以前の「パソコン通信」の描写。
当時の「朝日ネット」が登場します。
実名公開が原則で、文芸に強いプロバイダーでした。
他にもアスキーネットとかニフティサーブとか、それぞれ特徴があって。

おっと話がそれました。
作品のタイトル「敵」は、このパソコン通信のエピソードとして描かれます。
ネット上の会話の中で、こんな話が出てきます。
「敵です。敵が来るとか言って、皆が逃げ始めています。北の」
もちろん、現実のニュースや東北の街なかでも、何も起きていないと語られます。
一体何が起きているのか、それとも何も起きていないのか。


先のアマゾン解説文では、この「敵」の内容には触れずに、以下のように続きます。
年下の友人とは疎遠になりつつあり、好意を寄せる昔の教え子、鷹司靖子はなかなかやって来ない。
やがて脳髄に敵が宿る。恍惚の予感が彼を脅かす。
春になればまた皆に逢えるだろう……。哀切の傑作長編小説。

一方、映画の公式サイトのストーリー紹介の後半部分です。
いつしかひとり言が増えた儀助の徹底した丁寧な暮らしにヒビが入り、意識が白濁し始める。
やがて夢の中にも妻が頻繁に登場するようになり、日々の暮らしが夢なのか現実なのか分からなくなってくる。
「敵」とは何なのか。逃げるべきなのか。逃げることはできるのか。
自問しつつ、次第に儀助が誘われていく先にあったものは――。


うーん。なるほど。
小説の方では哀切と表現しています。
一方映画の方では。
意識が白濁とか、分からなくなってくるとか。
おどろおどろしい表現が並びます。
まぁ、そもそも小説とは別物ですし。
映画は多くの人の興味を引き付けて、集客しなくてはなりませんし。
こういった表現も仕方ないのでしょうが。
それでも、見ない方が良いような気もしてきます・・・

それよりも。
この小説を読んだら、翌1999年の筒井康隆作品「私のグランパ」も、続けて読み返したくなりました。
こちらも主人公は高齢の男性ですが、刑務所から出てきた祖父と女子高生の明るい話です。
私は見ていないのですが、菅原文太の主演で映画化もされています。
女子高生役は石原さとみ、女優としてのデビュー作。
こちらの映画の方が、見てみたくなりました。

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2024年12月25日 (水)

山形県鶴岡市来訪記念「藤沢周平」

私は60代半ばをすぎたジジイです。
ジジイの好物と言えば「歴史小説・時代小説」。

こんな言葉をどこかで見聞きしたことがあります。
日本男子の嗜みとして読むべき作家「一平二太郎」

藤沢周平、司馬遼太郎、池波正太郎のこと。
この言葉の出所は分からないのですが。
ウィキペディアにも、ちょっと記載があります。
https://ja.wikipedia.org/wiki/司馬遼太郎

私もこの三人は大好きで、代表作はほとんど読んでいます。
例えば「用心棒日月抄」や「剣客商売」シリーズなど。
もう何度読み返したかわかりません。
機会があれば、ゆかりの地を訪ねるのも、楽しみです。

というわけで。
先日行った山形県鶴岡市は藤沢周平の故郷。
各地に「その作品とゆかりの地」の掲示があるようです。
今回寄れたのは、はこの二か所だけ。

義民が駆ける 藩校致道館
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龍を見た男 龍沢山善宝寺
20241225_01

内容について語りだすとキリがなくなりそうなので、省略します。
手持ちは、いずれも新潮文庫。
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今でも「スピン=栞紐」が付いているのは、実質この文庫シリーズのみ。

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2024年12月19日 (木)

「マイティジャック」私の思い違い

私は60代半ばをすぎたジジイです。
私にとっては、福島県須賀川市「特撮アーカイブセンター」の展示品は、もうたまりません。
https://s-tokusatsu.jp/
・2022年8月1日(日) 行ってきました 須賀川市「特撮アーカイブセンター」
・2024年12月8日(日) 東北の主に鉄道関係あちこち その5

その中で、私の好きな「万能戦艦マイティ号」について。
私が小学校高学年の頃のテレビ番組「マイティジャック」と「戦え! マイティジャック」の主役メカです。
「特撮アーカイブセンター」収蔵品の画像がこちら。
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翼端の薄い箱は、当時の雑誌の図解では「逆噴射ロケットエンジン」と説明されています。
これが翼と同じ角度で付いていて、翼全体で「ハ」になっています。
失礼してネットで拾った、イマイのプラモデルの箱絵などでも、同様です。
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うーん、
翼に対して角度があり、翼全体で「W」になっていたと思います。
YouTubeで拾った、テレビ番組「戦え! マイティジャック」のオープニング映像です。
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放映された話によって、違ったりするのでしょうか?

子どもの頃は、両端が「水平」だと思い込んでいました。
YouTubeで拾った、テレビ番組「 マイティジャック」のオープニング映像です。
これですと、まぁまぁ水平に見えています。
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ネットで簡単に画像検索が出来るようになって、そうではないと分かり、ちょっとがっかり。
私としましては。
今でも「水平」の方が格好良いと思っています。
まぁ、それだけの話なのですが。


ついでに、私の思い違いを、もうひとつ。
テレビ番組の主題歌について。

曲名は、シンプルに「マイティジャックの歌」
作曲は、あの冨田勲
作詞は、清瀬かずほ。ウルトラシリーズの監督「満田穧(みつたかずほ)」氏のペンネーム。

さて歌詞の内容ですが。
ネット上の歌詞検索サイトで見つかる歌詞は、子ども用にひらがなカタカナを多用しています。
格好悪いので、適宜漢字アルファベットで書いてみます。

マイティジャックの歌

青い海に映える影
Oh! it's The Mighty Jack
遠い南の珊瑚礁
朝日が波に光る頃
マイティジャックは行く
Mighty Jack is going
Mighty Jack is going

茜雲をよぎる影
Oh! it's The Mighty Jack
遙か北のツンドラ
夕日が雪を染める頃
マイティジャックは飛ぶ
Mighty Jack is flying
Mighty Jack is flying

私の記憶違いというのは、ここです。

マイティジャックは「行く」
 ↓
マイティジャック「舞い来る」

子どもの頃に聞き違えて、ずっとこうだと思い込んでいました。
ネットで簡単に歌詞検索が出来るようになって、そうではないと分かり、ちょっとがっかり。
私としましては。
今でも「舞い来る」の方が格好良いと思っています。
まぁ、それだけの話なのですが。

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2024年11月11日 (月)

Web漫画サイト 早川書房「ハヤコミ」

こんなサイトを発見しました。
https://hayacomic.jp/
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早川書房PRESENTS
HAYAcomic ハヤコミ
SF・ミステリのマンガが大集合!
名作・話題作をコミカライズ&
ジャンル愛あふれるオリジナルコミック
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あの早川書房が2024年7月23日に立ち上げたそうです。
雑誌「ミステリマガジン」「S-Fマガジン」の出版元。
単行本では、ハヤカワ・ポケット・ミステリSFシリーズで名作を沢山出しています。
とは言え、出版業界はどこも苦しいでしょう。
老舗の出版社、攻めに出たのですね。

ラインナップをチェック。
おぉー。
スタニスワフ・レムの「ソラリス」
ガサ・クリスティーの「そして誰もいなくなった」
アイザック・アシモフの「銀河帝国興亡史」
いずれも歴史的な名作。
一方、私の聞いたこともない作品も並んでいます。
例えば「同志少女よ、敵を撃て」
ウィキペディアでチェック。
第11回アガサ・クリスティー賞を受賞したデビュー作。
第166回直木三十五賞候補に挙がり、2022年本屋大賞及び第9回高校生直木賞を受賞。
なるほど。
いずれも最初の数話は無料でその後はポイント制という、一般的な手法。

60代半ばを超えた私は、先のような長編小説を紙で読むのは、つらくなりました。
以前にも書きましたが、キンドルや青空文庫などの電子書籍がありがたい。
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更に、コミカライズですからね。
気軽に楽しめそう、、、と思ったのですが。
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うーん。
この絵柄では、私はちょっと・・・

若い人が食いついて、原作にも手を出す。
そんな好循環が生まれると良いのですが。

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2024年8月 3日 (土)

「虎に翼」に「総力戦研究所」

2024年8月2日(金)の第90話です。

主人公の寅子の同僚、岡田将生演じる裁判官の星航一
これまで、戦争で深い心の傷を負った登場人物に対し「ごめんなさい」と語りかけるシーンが複数回ありました。
今回、なぜそんな言い方をするのかが、明らかになりました。

彼は戦前に「総力戦研究所」のメンバーであったとのこと。
おぉ。
昭和15年に設立されたエリートの組織。
対米戦争の机上演習で「日本必敗」との結論に達したが、上部の方針は変わらなかった・・・

私は1980年代の終わり頃に、猪瀬直樹の本で知りました。
「昭和16年夏の敗戦 総力戦研究所"模擬内閣"の日米戦必敗の予測」
積み重ねた段ボール箱のどれかに入っているはずですが。

この番組では、先日の朝鮮人被告の裁判の際には「関東大震災朝鮮人虐殺事件」も取り上げていました。
なかなか攻めてきます。

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2024年5月27日 (月)

見てきました!!! 映画「鬼平犯科帳 血闘」その3

2024年5月10日(金)公開の映画「鬼平犯科帳 血闘」について。
あと少しだけ。

今回映画化された「鬼平犯科帳」シリーズ。
もちろん、原作もテレビドラマも好きなのですが。

池波正太郎の長編小説と言えば。
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」の3作です。
このうち私が一番好きなのは、断然「剣客商売」です。
シリーズ通しで、何度読み返したか分かりません。
もちろん「鬼平」や「梅安」も何度も通しで読んでいますが、数回程度に留まります。


話を「鬼平」に戻します。
今回の映画の公式サイトに、なぜかこんな表がありました。
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『鬼平犯科帳』は池波正太郎三大シリーズの一作品に数えられ、累計発行部数3,000万部を超える大ベストセラー時代小説。
連載期間年 / 作品名 / 出版社 / 巻数 / 累計発行部数(一巻あたり)
1968-1990 / 鬼平犯科帳 / 文藝春秋 / 24巻 / 3,000万部(125万部)
1972-1989 / 剣客商売 / 新潮社 / 18巻 / 2,500万部(139万部)
1972-1990 / 仕掛人・藤枝梅安 / 講談社 / 7巻 / 600万部(86万部)


なるほど。
累計発行部数は「鬼平」が一番多いことが分かります。
なぜか「一巻あたり」の部数まで記載されています。
これにより、一巻あたり発行部数は「剣客商売」が一番多いのが分かります。

表の中で「一巻あたり」は、()付きで記載され、いかにも付け足しという感じです。
これは、どういう意味でしょう?
巻数が多い作品が発行部数が多いのは、当然のこと。
一巻当たりの部数こそ、作品の人気を表している。
と言いたいのでしょうか?

うーん。
もしかして。
この記事の担当者は、私と同じ「剣客」ファンだったりして。

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2024年5月26日 (日)

見てきました!!! 映画「鬼平犯科帳 血闘」その2

2024年5月10日(金)公開の映画「鬼平犯科帳 血闘」について。
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原作の池波正太郎「鬼平犯科帳」は、文庫版で全25巻(本編24巻+番外編1巻)全135作。
今回の映画は、以下の2作をベースにしているようです。
・文春文庫「鬼平犯科帳(四)」血闘
・文春文庫「鬼平犯科帳(五)」凶賊

いずれも「平蔵一人が多数の敵に囲まれ絶体絶命、そこへ手下が駈けつけ窮地を脱する」という展開のお話です。

原作の名セリフ名シーンが再現されていて、嬉しくなります。
私の本棚に並んでいる原作から、何か所か拾い出して転記します。


文春文庫「鬼平犯科帳(四)」血闘

密偵のおまさを救うため、平蔵は単身敵の隠れ家に乗り込む。
P.161
庭に、廊下に、駈けつけて来る盗賊どもの足音と声が近寄って来る。
平蔵は、左手に、倒れた賊の太刀をひろいあげた。
(二刀流か……)
この、はじめての経験に、むしろ平蔵は不敵な微笑さえうかべたものである。

多勢に無勢。追い詰められた平蔵のもとに、火付盗賊改方の手下が駆けつける。
それを見た平蔵は、安心してその場にへたり込む。
P.168
おどろいた佐嶋忠介が、
「ふ、深手を……?」
「いやなに、くたびれすぎて腰が抜けたのさ。おれも年だわ」
賊どもの悲鳴が、まだ、きこえている。

文春文庫「鬼平犯科帳(五)」凶賊

鷺原の九平の芋酒屋で、平蔵は居合わせた年増夜鷹のおもんを相手に、ひと時を過ごす。
P.176
「旦那。うれしゅうござんすよ」
「なぜね?」
「人なみに、あつかっておくんなさるからさ」
「人なみって、人ではねえか。お前もおれも、このおやじも……」

平蔵に好感を抱いた鷺原の九平は、店を出た平蔵の後をつける。
P.181
平蔵は役宅の潜門(くぐりもん)のところへ来ると、いきなり、うしろを振りむいたものである。
濠端の闇にしゃがみこんで、これを見まもっていた九平が、はっとくびをちぢめた瞬間、彼方の平蔵が、
「おやじ、御苦労」
大きく、声をかけてよこした。
Onihei5_20240525


ちなみに。
池波正太郎の長編シリーズ3作のうち、私は「剣客商売」が一番好きです。
シリーズ通しで、何度読み返したか分かりません。
もちろん「鬼平」「梅安」も何度も通しで読んでいますが、数回程度に留まります。それも十年以上前のことです。
その程度の「ぬるいファン」の私にも、しっかり記憶に残っている名シーン。

全135作に及ぶ原作から、厳選して映像化しているのだと実感させられました。

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