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2020年6月27日 (土)

お楽しみ!! ライトノベル「キネマ探偵カレイドミステリー」その3

というわけで。「キネマ探偵カレイドミステリー」
Kinema_202006

文章自体に、気になることが多くて、どうにも参ります。

我ながら野暮ですが。
二冊目の、「キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~」
ここからは、パソコンでメモを取りながら読みました。

まずは、やたらに難しい漢字が出てくることです。

 複雑な事情に塗れて → まみれて
 躊躇われる → ためらわれる
 尤も → もっとも
 狼狽える → うろたえる
 勿論 → もちろん
 纏めて → まとめて
 折角 → せっかく

これらは、普通にひらがなで良いと思いますけど。
別に「深い文学的な意図がある」というわけでは、なさそうです。
単に、パソコンの変換機能の使い過ぎでしょうか。

もっと困るのは「これで正しいのか?」と思わされる言い回しが、すごく多いんですよ。

・救いの権現、殺意の権現
 何度か出てきました。
 例えば「救いの神」なら、良くある表現です。
 百歩譲って「権化」なら、例えば「悪の権化」があるので「アリ」かと思います。
 念のため、ウィキペディアで確認。
 権現とは歴史民俗用語。
 仏が衆生を救うために、神・人など仮の姿をもってこの世に現れること。
 権化と権現、ほとんど同じ意味のようですが。
 でも、ヤフーで検索しても、このような用例は出てきません。

・監督の望んだものを蔵出す
 意味不明です。
 「繰り出す」の間違いでしょうか?
 CS放送の「蔵出し名画座」にかけているわけでもないでしょう。

・歳の頃はニ十歳
 これは「年の頃」が普通でしょう。
 騒ぐほどでもありませんが。

・夢のような記録媒体は、多くの人が所望している夢の代物
 「夢」が二度出てきます。
 「所望」:ある物がほしい、またこうしてほしいと、望むこと。
 例えば「殿様が茶を所望する」というように「存在するもの」を望む場合の言葉でしょう。
 この文のように「存在しないもの」を望む場合は、例えば「希求」とか。

・煩雑とした事情が絡み合い
 「煩雑な」でしょう。或いは「混沌とした」

・知識の量だって比にならない
 これは単なる脱字かも知れません。
 「比較」「比べもの」でしょう。

・サイレントからトーキーへの変遷時代
 意味は分かりますが。
 「変遷時代」という言い回しはないと思います。
 念のためネットで検索しても出てきません。
 「時代の変遷」なら良いでしょう。
 「移行期」「変革期」あたりが一般的でしょうか。

・絢爛なドレス
 ネット辞書からコピペ。
 「絢爛」 :「豪華絢爛」「絢爛たる~」などの形でよく使われています。

・結婚式の途中で駆け出す花嫁が現実では赦されないみたいに
 「赦」:国家・皇室に吉凶の大事があったとき、特に囚人の罪をゆるしたこと。
 ここは普通に「許されない」でしょうね。

・父親達の星条旗
 映画のタイトルは「父親たちの星条旗」
 つい変換してしまったのでしょう。

・利用するときは骨まで、が嗄井戸高久の本懐である。
 おいおい、敵討ちですか?
 「本懐」:もとから抱いている願い。本来の希望。本意。本望。「本懐を遂げる」
 この場合は、例えば「方針」「モットー」とか。

・俺は自業自得の軌跡を辿った。
 意味不明。

・君の方にも理がない
 前後の文脈から「利」がない、のようです。

・破れない密室はそれこそ丸々干渉してしまえばいいのだ
 意味不明。


3巻
・心神はまるで喪失状態
 四文字熟語「心神喪失」を、ばらして使っているのでしょうが。

・凄惨に殺された
 「凄惨な殺され方をした」ですね。

・凄絶な孤独
 言いたいところは分かりますが、どうでしょう。

・俺の煩悶を他所に
 「煩悶」:もだえ苦しむこと、心を痛めて思い悩むこと
 文脈から、ためらった程度で使うのはどうか。

・小宮先輩は非の打ちどころのない先輩だったし
 先輩が重なっている。

・珈琲を飲み下しながら
 「飲み下す」:飲み込んで胃のほうへ送る。
 単に「飲みながら」「飲み干す」でしょう。

・こんなに身近に映画スキが潜んでいたとは侮れない
 何を?

・映画に被れている
 「被る」は「帽子を被る」などに使う漢字なので、誤変換ですね。
 漢字なら、これでしょう。
 「気触れる」:皮膚が炎症を起こし、赤くかゆくなる。
  あるものの影響を強く受けて、その風 (ふう) に染まる。
 普通は、ひらがなですね。

・デロリアンの影は形も無い
 デロリアン「は」影も形も無い。

・狂気的な絵面、短時間の消失すぎる
 これらは、若者言葉なら、ありでしょうか。

・他の見送りと鉢遭う
 「鉢合わせする」のことでしょうか。

・デロリアンの行方には後ろ髪を引かれるだろう
 後ろ髪を引かれる「思いがする」だろう、ですね。


ざっと、こんな具合です。
出版社の編集とか校正の担当者は、どんな仕事をしているのでしょう。

我ながら性格が悪いです。
ストーリーを楽しみながら、気になるとネットで言葉を検索して確認する。
パソコンでメモを取る。

読みながら、間違い探しゲームのような気持ちになってきました。
疑問点を幾つ見つけられるか、どう疑問に思ったのか。
大学の国文学科あたりで、ゼミのテキストとかゲームに使えそうです。




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2020年6月26日 (金)

お楽しみ!! ライトノベル「キネマ探偵カレイドミステリー」その2

というわけで。「キネマ探偵カレイドミステリー」
Kinema_202006
面白く読み進めてはいるのですが。
どうも気になるところもあります。

物語は、助手役の大学生の一人称形式。
ライトノベルにありがちな、会話文主体で話が進みます。

第一作の最後に、助手役は探偵役に向かってひどい嘘をつきます。
探偵役の家の前で血まみれで倒れ、携帯電話で助けを求める。
実はそれは、ひきこもりの彼を家から出すための大嘘。

おいおい。
いくら何でも非常識すぎでしょう。

その後、探偵役の口から、引きこもりになった理由が語られます。
「家族が猟奇殺人の被害者になったのだ」と言うのです。

私は、これはもう「嘘には嘘のお返し」だと思って読み進めました。
助手役は話を信じているようですが、あくまで話だけですからね。
これは、ミステリーでは良くあるパターンです。

ですがその後、それは事実として話が進むのですが。
読者に疑問を持たせるような展開自体が、ちょっとね。

展開上の疑問点は他にもありますが、やめておきます。
それよりも、問題は文章なんですよ。

くどい話なので、次回にします。


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2020年6月25日 (木)

お楽しみ!! ライトノベル「キネマ探偵カレイドミステリー」

映画「ニュー・シネマ・パラダイス」つながりで。
在宅時間が長いので、お気楽な楽しみに、こんな本を読んでいます。

映画を題材にしたミステリー短編小説の、シリーズ三巻です。
Kinema_202006
斜線堂 有紀
キネマ探偵カレイドミステリー 
キネマ探偵カレイドミステリー ~再演奇縁のアンコール~
キネマ探偵カレイドミステリー ~輪転不変のフォールアウト~

「休学中の秀才・嗄井戸高久(かれいどたかひさ)を大学に連れ戻せ」。
留年の危機に瀕するダメ学生・奈緒崎(なおさき)は、教授から救済措置として提示された難題に挑んでいた。
しかし、カフェと劇場と居酒屋の聖地・下北沢の自宅にひきこもり、映画鑑賞に没頭する彼の前に為すすべもなく……。
そんななか起こった映画館『パラダイス座』をめぐる火事騒動と、完璧なアリバイを持つ容疑者……。
ところが、嗄井戸は家から一歩たりとも出ることなく、圧倒的な映画知識でそれを崩してみせ――。

ミステリーのテーマは、様々な映画作品。
私の好物、探偵は自宅から一歩も出ない「安楽椅子探偵」もの。

助手役は、留年の危機にある同級生。
なんだ、男二人がメインキャストかと思ったら。
途中から、かわいくて謎めいた女子高生が登場。

この三人が、映画に絡む事件を解決するわけです。
あぁこれは。
数年前に読んだ、古書のミステリーによく似た構成です。

2018年9月27日(木) お楽しみ「ビブリア古書堂の事件手帖」

Biblia_1_201809
こちらは、名探偵が清楚な女性、助手が武骨な男性。
更に、しっかり者の女子高生の妹。
事件の謎解きとともに、二人のもどかしい恋愛が楽しみでした。

一方こちら「カレイド」は、もっと厳しい三人の立場の変化があります。
ネタバレは避けますが、まさに「カレイドスコープ=万華鏡」という感じ。

で。
第一作のテーマが「ニュー・シネマ・パラダイス」なんです。
古い映画館、その名もずばり「パラダイス座」がありまして。
支配人は、オーナーから廃業を告げられます。
その後オーナーは、自宅で原因不明の火災により死亡。
これはもう、犯人は決まっています。
さぁ、どんなトリックで、あの映画とは、どう絡んでくるのか。

会話や二人の関係も面白い。
何しろ、現代の大学生が主人公ですからね。
助手役がパラダイス座で見た思い出の映画は「ドラえもん」
主人公二人は「ブリキの迷宮」「魔界大冒険」について語り合ったり。

会話が、いかにも今の若者。
「めっちゃ」「はぁ?」「らへん」「うわ、めんどくさい」「・・の体で」「秒で」
おっと懐かしい。
「般教」=パンキョー=一般教養科目。
こんな言葉が、ぽんぽん出てきます。

そして大学生活の描写や、下北沢の街並や実在の喫茶店など。
なんだか若返ったような気分で、楽しく読めます。

映画にまつわる様々な蘊蓄やトリック。
見たことのない映画も要領よく説明されて、読みやすく面白い。

作者について、ウィキペディアから引用。
作者は1993年生まれ。
大学在学中である2016年10月、投稿作『キネマ探偵カレイドミステリー』にて、
第23回電撃小説大賞の「メディアワークス文庫賞」を受賞。
翌年、同作にて作家デビュー。
なるほど、本当に若いんですね。

第一話が、こちらでまるまる読めます。
https://dengekibunko.jp/books/1702kinematantei/index.php


さて。
今どきの若い人の書いたものを、ホメて終われれば良いのですが。
くそじじいの私は、やはり気になる点もあるわけです。
それについては、後ほど。

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